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不思議なカフェ  作者: 紙絵


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47/50

46 惚気

 月曜日のお昼時間、ソラとモモは昨日のことを話していた。主にモモがだが。


「武尊さんの狐面がすごく上手でね! 生きてるみたいなの!」

 モモが大興奮している。


 武尊さんは狐の子孫だし、きっとお面に馴染みがあるんだろうな……


「そうなんだね!」

 ソラが平常心で答える。


「びっくりしないの? あの、いつも軽い武尊さんがだよ?」


「まぁ。武尊さんってあのキャラ作ってるのかなって時々思うんだ」

 ソラがボソッと話す。


「……ソラって武尊さんのこと、結構知ってる?」

 モモが怪訝な表情をしている。


「カイさんの友達だから、知ってる事もある」


 言えないけど。


「ふぅーん?」


 あれ? 怒ってる?


「モモ?」

 声をかけるが、モモは立ち上がる。


「私、パン買ってくる!」

 そう言うと教室を出て行った。


 どうしたんだろう? 私何か怒らせるような事言ったかな?


 考えてもわからない。来たら聞いてみよう。

 ソラは自分のお弁当を食べ始めた。



 モモは無性に腹が立って、足早に進んでいた。


 ソラってば、私のが武尊さんと二人で出かけてるし、知ってるんだから!

 実は鋭い所とか、嬉しい時のはにかんだ笑顔とか、お面塗る時の繊細な筆使いとか……


 気付けば購買ではなく、中庭に来ていた。考えずに歩きすぎた。そして、ふと気付く


 あれ?

 なんで私こんなにムキになってるの?


 自分の行動の意味が分からなくて、立ち止まるモモ。もしかして、私武尊さんのこと大分意識してる?


 首を振るモモ。


 違う違う! 友達としてだし、好きとかじゃない!


 自販機でコーラを買う。一気に飲んだ。

「ぷはーーっ!」


 頭をスッキリさせて教室へと戻るのであった。


 ◇


 カイと武尊は、食堂で牛丼ならぬ豚丼を食べていた。

「なぁカイ、見てみて!」


 不意に見せてきた写真は、ピンクの狐面。


「なんだそのかわいい狐面?」


「モモちゃんが作ったんだけど、もうツボでさ。見ると笑っちゃうんだよ!」


「モモちゃん?」

 カイが聞き直す。


「うん、昨日一緒に美術館行ってさ……」

 楽しそうに話す武尊。


「武尊さ、絶対モモちゃんの事好きでしょ?」

 カイが食べながら確認する。


「それはないって!」


「じゃあ、モモちゃんに彼氏できたらどう思う?」

 ちょっと意地悪な質問をしてみる。


「モモちゃんに彼氏? ありえないって!」

 武尊は手で罰を作る。


「ありえないの?」


 本当にそうなったらどうするんだか。


 カイは少し心配になった。


 ◇


 今日はバイトがある。

 ウキウキしながらお店へと向かう。


 お昼、教室へ戻ってきたモモは、何故かパンではなくコーラを持っていた。


「怒ってた?」

 ソラが聞くと、

「ごめん、私の気の迷いというか……忘れて!」

 と。


 なんだったんだろ?



 お店に着く、

「お疲れ様です」


「ソラちゃんお疲れ」

「ソラ〜」

 カイさんとミーちゃんが待ち受けていた。

 カイは、床でゴロゴロしているミーちゃんを撫でている。


「ミーちゃん、いらっしゃい。エプロン付けてきます」

「うん」

 優しく微笑むカイ。


「お前達、何か雰囲気変わったな」

 ミーちゃんがゴロゴロしながら、カイに話しかける。

「ミーちゃん分かる?」

 カイが嬉しそうに笑う。


 ソラが戻ってくる。

「何話してるんですか?」


「俺とソラちゃんの話」

「ええ!」


 カイが立ち上がり、ソラの頭を撫でる。ソラは恥ずかしくなった。

「カイさん、びっくりします」

「ごめん」

 言いながらまた撫でる。


 ミーちゃんは興味がないのか、寝ていた。



 退勤の時間。

 お店には二人以外誰もいない。


「お疲れ様」

「お疲れ様でした」

 しばらく見つめ合う二人。


「ソラちゃん、ぎゅってしていい?」


 ソラは息をのむ。

「……はい」


 カイの大きい手がソラを包み込む。お互いの鼓動のドキドキが伝わる。ソラもカイをぎゅっとする。


 安心する。


 身体を離す。

「ソラちゃん、ほっぺにキスしていい?」


 カイがソラに訊ねる。

「はっ、はい……」


 唇が頬に触れる。ソラはもう真っ赤である。

「やばい、かわいい」

 カイがまたソラを抱きしめた。

「カイさん、あの」


「ごめん。気をつけて帰ってね」

 頭をポンポンする。


「はい」

 二人は手を振って別れた。


 はぁーー。

 カイが盛大にため息をついた。


 着信音が鳴る。武尊だ。

「もしもし?」

 気怠げに出るカイ。


「もしもし、なんだ? 寝てた?」


「武尊、彼女が可愛すぎて苦しい」


「は? 惚気かよー!」

 耳元で武尊の声が響いた。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

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