37 デートプラン
広島にある下瀬美術館。
海辺に立つ建物は、美しい美術館としても有名である。
武尊とモモは美術館に到着した。
「水の上に建物があるみたい!」
「すごいオシャレだね!」
乗り気でなかった武尊とモモだが、初めて見る物に大興奮である。
「美術館てよく来るの?」
武尊がモモへ訊ねる。
「いえ、あんまり馴染みないです。武尊さんも無さそうですよね?」
「なんか失礼じゃない?」
軽口を叩きながらも楽しそうな二人。展示を見ていく。
「雛人形だ。久しぶりに見ました」
モモが思わず声を上げる。
「家で飾らないの?」
疑問に思う武尊。
「小さい頃は飾ってたんですけど、大きくなると中々出さなくなりますよね……」
ちょっと悲しそうなモモ。
「そういうものなんだー」
武尊はモモをじっと見る。モモの表情が気になった。
一通り見終わり、美術館のカフェで一休みする事にした。
「思ってたより楽しかったです!」
「俺も! 美術館巡りハマりそうかも」
「巡るのいいですね! 行く時誘ってください」
「いいよ?」
先程の表情はもう、見られない。いつもの元気なモモである。
「……モモちゃんはなんで恋愛したいの?」
武尊は少し真剣に聞いてみた。
「それは少女漫画に憧れて……」
「それだけじゃないでしょ?」
武尊がニッと笑う。
「武尊さんて、鋭いですよね? 家、両親が仲悪くて……反面教師というか、私はずーっと仲良しでいられる人と恋愛するって決めてて、そんな訳です」
微笑むモモ。少し悲しそうなのは、自分の両親の事を思っていたからのようだ。
「それは、叶うといいね」
武尊が笑う。
「はい。頑張ります!」
大丈夫かな?
モモのガッツポーズに少し心配になりながら、カフェを後にするのであった。
◇
ソラとカイは水族館にいた。デートの定番である。
「ソラちゃん、付き合わせてごめんね」
「いえ、モモが武尊さんに無茶なお願いしたから」
「でも、ソラちゃんとデートできる口実ができたから嬉しいよ」
ニッコリ笑うカイ。
「カイさん、そう言うの本気にしますよ?」
ソラが苦笑する。嬉しいが、好きな人に冗談を言われるのは悲しい。
言葉に詰まるカイ。
「あ、あのさ……」
「カイさん、牡蠣がありますよ! 珍しい〜」
ソラの目は水槽に釘付けだ。小さな子どもみたいに、瞳がキラキラしている。
隣に立つカイ。ソラがカイを見上げる。
「牡蠣、食べたくなるね」
「ふふ」
ソラの笑顔を見て、カイの心は温かくなる。
ペンギンの展示に近付くと、人が増えてきた。
展示が上にある。ペンギンが泳いでいるような姿に見とれていると、カイが見当たらない。
あれ? はぐれた?
きょろきょろするソラ。人混みは苦手だ。
どうしよう……
後ろから手を握られ、驚いて振り向くとカイがいた。
「ソラちゃんいた!」
カイがホッとした顔をしている。
「カイさん」
ソラも安心した。
その表情にドキっとするカイ。
俺を見て安心してくれた。
「人多くなってきたね」
「はい」
手を繋いだまま、二人は歩いていく。人混みがなくなっても、手は繋いだままだ。
ソラは自分の心臓の音が聞こえそうだった。
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