35 絆創膏
ソラはゲームをしている。
今日は学校もバイトも休みだ。
何も考えずに没頭したい……しかし、気がつくと考えてしまう。
首を振ってゲームに集中しようとするが、ダメだ。
好きになるとこうなるのか……
カイの笑顔が頭から離れない。
ソラは今日、何度目かのため息をつくのであった。
◇
モモはデートしていた。
別のクラスの男の子から、連絡先を聞かれ、今日一緒に出かけようと誘われたのだ。
正直、よく知らない人でなぜ自分が誘われたのかわからない。
「モモちゃん行きたい所ある?」
優しそうな表情でモモを見る。悪い人じゃなさそうだけど、モモは居心地が良くない。
「えっと、特には……あ、アイス食べ行く?」
この前行ったお店ならデートっぽい。
「甘い物は得意じゃなくて」
困ったような顔をする彼。
「あーそれは残念」
どうしよう? なんか楽しくない!
少女漫画の中では、デートとはドキドキして楽しくて、あわよくば……っていう展開を期待していたのに。
結局、デパートをウロウロしてファミレスでご飯食べて解散した。
かわいいサンダルを張り切って履いてきたモモ。
足が痛い……
木陰のベンチに座る。勝手に期待して、勝手に落ち込んでいる自分を俯瞰してバカみたいだと思う。
絆創膏を探す。
鞄も小さいのに変えてきたんだ。
いつものポーチがない。
「はぁ〜」
盛大なため息をこぼすモモ。
「あれ? ソラちゃんの友達の……ルルちゃん!」
見たことのある顔である。
「モモです」
とりあえず訂正しておく。
「モモちゃんね、ごめんごめん。俺分かる? カイの家にいた武尊」
「はい」
あのチャラそうなお兄さん。
「こんな所でどうしたの?」
武尊はモモの隣に座る。
「足が痛くて、休んでました」
「見せて?」
サンダルそっと脱ぐ。かかとが靴擦れを起こしている。
「少し休憩したら大丈夫です」
モモが苦笑する。
「痛そうだね。ちょっとまってて」
そう言うと、武尊はどこかに走って行く。
武尊はコンビニの袋を持っている。
「はい」
モモにりんごジュースを渡す。
「え、これ……」
「はい。足見せてね〜」
絆創膏も買ってきてくれたようだ。
「自分でやります!」
流石に恥ずかしくなるモモ。
「そう?」
武尊が絆創膏を渡す。
「ありがとうございます! お金払います」
モモが鞄を漁る。
「いいよ。俺のがお兄さんだし」
「……すみません」
「デートだったの? 前よりもかわいい格好だね?」
「う……そうなんですけど、全然うまくいかなくて」
お見通しらしい。
「そっか。相手は?」
「もう帰りました」
「その相手はやめた方がいいかもね?」
「え?」
「足の痛い女の子一人置いてっちゃうなんて、ありえないよ」
武尊が少し怒っているように見える。
「私が隠してたから、気がつかなかったんだと思います」
「好きな子の変化なら気がつくでしょ?」
ドキッとする。
当たり前だというような武尊の言葉は、モモに刺さった。
「武尊さん、すごいですね」
「なにが?」
「私、今心鷲掴みにされました」
目をキラキラさせるモモ。
「へ?」
予想外な展開に対応が遅れる。
「私に恋愛のこと教えてくれませんか?」
モモは武尊に迫る。
「それは……どういうこと?」
珍しく戸惑う武尊であった。
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