33 始業式
夏休みが終わった。
学校には、だらけた生徒達が集まっていた。
残暑がまだ厳しい時期だが、夜になると少しずつ気温が下がってきた。
「おはよー。宿題終わった?」
モモに早速訊ねるソラ。
「おはよう。終わったよ、やっとこ。昨日の夜までやってたけど」
寝不足なのか、モモの足取りは重い。
「おはよー」
高橋とヤマトが一緒に登校してきた。
「おはよう」
ソラとモモが答える。
「ソラちゃん夏休みどうだった?」
ヤマトがさりげなくソラの隣へと移る。
「ん? まぁ、楽しかったよ」
距離感が近い……
「一回くらい遊びたかったなぁ。今日の放課後どっか行かない?」
ヤマトが誘う。
「えっと……」
ソラは口籠る。
「モモちゃんと高橋も一緒に!」
「いいよー、俺アイス食べに行きたい」
高橋はノリノリだ。
「アイスか」
モモはアイスに釣られているようだ。
「ね? いいでしょ? 放課後昇降口ね!」
そう言うと、ヤマトは自分のクラスへとさっさと入って行った。
友達なら放課後遊ぶ事もあるか。
「ソラはバイトない?」
モモが確認する。
「うん。今日は休みだから大丈夫」
「早く始業式終わらないかなあー、もう口がアイスなんだけど」
高橋が文句を言っている。
後ろから視線を感じる。
振り向くと、アカリと目が合う。すぐ逸らされるが、絶対に見ていた。
友達といっても、ヤマト君、距離近いから誤解されてるのかも……
少し気分が下がるが、表に出さないように気をつける。
気にしない気にしない。
◇
四人は連れ立って歩いて行く。
「どこのアイス食べに行くの?」
ソラが訊ねる。
「俺いいお店知ってるよ!」
ヤマトが自信満々に答える。
かわいいアイス屋さんに到着する。
「こういうお店、よく来るの?」
モモがヤマトへ質問する。
「たまにね!」
「へぇ。女の子好きそうなお店だよね」
モモがヤマトをチラッと見る。
「俺そんなに軽くないって!」
「そうかなぁ?」
モモがさらに問い詰める。
「ふふふ」
ソラが隣で笑っている。
「俺は今、ソラちゃん一筋だから!」
ヤマトがそんな事を言っている。
「え?」
ソラは驚いて固まる。
「そんなに身構えないでよー。友達にはなれたから、それ以上も頑張ればいけるかなって」
笑うヤマト。
「ヤマトそれ以上は引かれるぞ?」
高橋が助け船を出す。
「悪い。何にしようかな〜」
ヤマトはさっさとアイスを選び始める。
ソラは深呼吸する。やはり、ヤマトとは何かが合わない。近くにいるとヒヤヒヤする。
「ソラはどうする?」
モモが隣に来た。
「ヤマト君すごいね、ソラ聞き流しといた方がいいよ」
こそっとモモがソラへ伝える。心配してくれている。
「うん。大丈夫だよ」
二人はアイスを選ぶ。
ショーケースには色とりどりのアイスが並ぶ。どれも美味しそうで、選ぶのも迷ってしまう。
カイさん見たら喜びそうだな。
不意に、かき氷を頬張っていたカイを思い出してニヤけるソラ。
「ソラちゃんアイス好きなの?」
いつの間にか、ソラの隣にいたヤマトが話しかけてきた。
「え?」
「いや、嬉しそうだからさ」
手を頬に当てるソラ。
「違う事考えてたんじゃないの?」
モモがニヤッと笑う。
「違う事って?」
高橋が質問する。
「何でもないから!」
焦るソラ。
「ソラちゃんがかわいい」
ヤマトがボソッと呟く。
四人は席でアイスを食べる。
ソラはミルクのシングルにした。
モモはストロベリーとチョコのダブルを食べている。カイに負けず劣らず甘党である。
「高橋君も甘いの好きなの?」
同じくダブルを頼んでいる高橋に、ソラが質問する。
「うん。『も』って、誰と同じ?」
高橋も少し笑っている。
「あ、モモと同じってことだよ」
咄嗟に取り繕うソラ。
ダメだ、カイさんと同じって思ってたら口に出てしまった。
「ソラちゃん、好きな人いるの?」
シングルを食べているヤマトが、ソラを見つめる。
「え?」
「そういう顔してるよ?」
そういう顔って、どんな顔なんだろう……
下を向いて考え込むソラ。
「俺、失恋かぁ」
ヤマトが空を仰ぐ。高橋がヤマトの肩を抱いている。
モモが苦笑する。
その姿に気付かないまま、ソラは何やら考えていた。
読んでいただき、ありがとうございます。
感想、反応いただけると大変嬉しいです。
評価、レビュー、ブックマークお願いします!




