31 夏休み宿題
愛媛から帰宅し、今日はモモ宅で宿題の追い込みである。
「やばい、遊びすぎて宿題全然間に合わない!」
モモが頭を抱えている。
「私あとこれだけ〜」
ソラは余裕の笑み。
「なんでよ? ソラだってバイトしてたじゃん」
「バイト先でも、宿題やってたから」
「ええ! それいいの?」
確かに。まぁ、店長のカイがいいと言ってくれていたのだ。おまけに分からない箇所は教えてくれるので、とてもスムーズに進んだのである。
スマホが鳴る。メッセージだ。
メッセージを見て微笑むソラ。
「ミツキ兄、良かった」
小さく呟く。
「どうかした?」
モモが問いかける。
「うん。モモが宿題ひと段落したら教える」
「ソラ厳しいー!」
メッセージは一言。
『また付き合う事になった』とあった。
何か思い出したモモ。
「そいえば、ヤマトからソラの事聞かれたよ」
「え?」
「お祭りで、たまたま会ってさ」
お盆のお祭りは、この地域でもあった。モモは友達と行ったらしい。
「そいえば、お祭り一緒に行かない?ってメッセージ来たんだ。愛媛のおばあちゃん家行くからって断ったけど」
ペンを弄びながら答えるソラ。
「男友達何人かで来てたみたい。ヤマト君、ソラの事やっぱ好きなんじゃない?」
「でも前に、友達になろうって言われたよ?」
そわそわしながら、言い訳するソラ。
「うーん。そうだけどさ。二人でお祭りって、誘うのもハードル高くない?」
「……うん」
俯くソラ。確かに誘うのも勇気がいるだろう。
「ソラはヤマト君の事、どう思うの?」
「私は、友達と思ってる」
「まぁ、そうだよね。カイさんいるもんね?」
突然のカイの名前に顔を上げるソラ。
「そこで何でカイさんが出てくるの?」
「いや〜。何となく」
モモが笑う。
「モモはいないの? アイドル以外で?」
話を逸らすソラ。
「ない!」
きっぱり言い切るモモに、頷くしかないソラであった。
◇
ソラの宿題は無事終わり、帰宅後、兄のリクが詳細を教えてくれた。
ミツキ云く、ソラのおかげとの事。
祭りの日、女の子と親しげにしているミツキを見て、彼女は自分の気持ちに気付いたらしい。
役に立てたのならよかった。そう思うソラとは裏腹に、リクは肩を落としていた。
「同じような遺伝子のはずなのに、何故ミツキだけ……」
何とも言えない表情でリクを見るソラ。
自分の事は、意外と自分では分からないものである。
ソラは一人、カイが送ってきた写真を見ていた。ライトアップされた有名な温泉施設は、少しブレ気味で、上手く撮れているとは言い難い。しかし、そんな事よりも、共有したいと思ってくれた事実に心が温かくなる。
私、カイさんの事、気付くと考えてる。
自分のことは中々分からないものだが、最近は少しずつ分かってきた。また、あの楽しそうな笑顔が見たいと思う。
バイトの日が待ち遠しく感じるソラである。
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