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【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.3「鳴神探偵と李渦の主」
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   2/13

 噂通りだ。


 蘇芳の髪、黄金の眼、独特の古臭い話し方。格好の露骨さも相まって確かに妖しさはあるが、彼が相当な切れ者であることは間違いないと確信できた。それほど彼の波動は研ぎ澄まされている。ただの龍でないのは明らかだ。


 ヒビキが盆に載せた湯呑み三つを長テーブルに置いていく。自分の分は用意していないらしい。


 センリは立ったままでいようとするヒビキに礼を告げ、自身の隣に手招きして座らせる。


「ほれ、おまえも名乗ってやれ」

「わかりました」


 センリには妙に聞き分けのいい彼だが、シブキたちに顔が向くとがらりと事務的な雰囲気に変わる。


「……春河響(はるがひびき)蛇龍(だりゅう)族雷龍だ。雑務や戦闘を主に請け負っている」

「私の助手であり一番弟子じゃ。少々愛想は悪いがの」


 穏やかに笑うセンリと、仏頂面でシブキたちを睨むヒビキは真逆だ。しかしヒビキもまた、他の龍とは質の違う波動を纏っていた。


 まず自分よりは格上であろうと、頭を下げて挨拶を返しながらシブキは思う。彼らが龍使協会に友好的だったのは幸いなのかもしれない。


「さて、そろそろきみらの要件を聞くとしよう。異獣関連と聞いておるが」


 マイペースに緑茶を啜ったセンリが、単刀直入にそう尋ねる。答えたのはシブキだった。


「はい。先日から、他よりも優れた特異個体の異獣が現れてまして。昨日撃退した上位種異獣・角獣は、その現象を"狂化"と呼んでいました」

「"狂化"、とな。……ふむ。詳しく聞こう」


 センリの表情から笑みが消え、狐目が鋭くシブキを見据える。


「波動が大きく揺らいで……その後、波動だけ()()()()なるのが特徴で。角獣の場合は、纏っていた瘴気が濃くなって、黒い霧のかたちで実体化したんです」

「角獣……何か、唱えていたよな」


 口を挟んだのは今まで黙っていた勇輝だ。鮮烈に脳裏に焼きついた光景を再生しているのだろうか、眉間にうっすら皺が寄っている。相棒の指摘を受けたシブキも、同じように昨日の事象を思い返した。


「あー……あの詠唱か。覚えてるぜ。確か……『天の狭間、廻るは』――」

「おっと、その辺でやめておけ」


 記憶に従って復唱しようとしたシブキだったが、センリの静止で口を閉じる。


「恐らくじゃが、そいつは我々龍や龍使いがするような、波動を集中させるための言葉ではない。俗に言えば呪文だとか、そういう類じゃろう。迂闊に口に出さんのが賢明じゃ」


 至って落ち着いた調子の警告で、シブキの背筋に寒気が走る。わざわざ止められるような呪文というのは、なかなかに危険なものと察せられた。


「しかし気がかりではある。掻い摘んで話してくれ」

「確か……『瘴気の神』とか、『顕現せよ』とか、あとは『贄』とも」

「なるほど……」


 慎重に言葉を抜粋したシブキの回答に、センリは思考を巡らせ始めたようだ。


 しばらくして何か思い浮かんだのか、伏せていた顔を上げて勇輝に目を向ける。


「さて、勇輝。異獣の神、というのを知っとるかの?」

「異獣の……?」

「最初の異獣であり、異獣たちの根源でもある存在。次元の狭間に住み、そこに流れ着いた人や龍の負の波動――すなわち瘴気の源から異獣を生み出し、世に送り出す怪物。名を、『カタラ』という」

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