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 何せシブキと勇輝は今回、角獣にはほとんど苦戦していない。むしろ後から来たヤマオロシたちの方が、厄介な連携攻撃を仕掛けてきた。


「やっぱそうだよなあ。なあ勇輝、お前はどう思う?」

「どう……角獣のことか」

「そ。ぶっちゃけ拍子抜けだったろ」


 シブキの率直な感想に勇輝は頷き、下を向いて考え込む。


「まあ、そうだな。だが、波動は確かに上位種の――強者の色だった。まるで何か……」

「油断を誘う、みてえな」


 勇輝の言葉を引き継いで、シブキがそう続けた。相棒の意見を聞いて、違和感の正体がうっすらと見えてきたのだ。


 勇輝もシブキの出した仮説に納得したようで、ぱっと顔を上げる。


「そう、それだ。挑発的に見えたんだ」

「……まあやっぱ、」


 青い瞳が空を向く。今のシブキの心境に、この晴天はまるで不釣り合いだ。


「一筋縄じゃあ、いかねぇよな」


 嘲るようにどこまでも蒼い空。嵐の前に似た静けさが、シブキと勇輝を覆っていた。






「おや、敗走とは珍しい」


 暗闇に舞い戻った巨獣を見て、笑みを浮かべた兎が茶化す。


 巨獣は不機嫌そうな目で兎を見下ろした。


「まさか。少しばかり遊んでやろうと思ったが、ツノを折られて興が冷めたのだ」


 見れば確かに、彼の自慢のツノが一本、根元からなくなっている。


「災難でしたね。しかしそれでは困ります。貴方はこの作戦の要ですから」

「……無論、降りるつもりはない。次こそは――」


 紅い紅い、真紅の瞳。


 その奥に潜む瞳孔が、蛇のようにぎょろりと細くなる。


「徹底して、蹂躙する」


 薄気味悪い低音が、静かな空間に反響した。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

角獣との戦いはまだこれで終わらなそうですが、果たして。


楽しんで頂けましたら評価やブクマ、感想等くださると励みになります!

第七話でも激闘が続きます。ご期待あれ!

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