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「ゲームバカ二人が楽しめたんならいいんだろう、多分」
「両者とも手捌きが並ではなかったな……」
ゲーマーが見れば絶賛するような試合であったが、常人からすれば「なんかすごかった」「気づいたら終わってた」くらいなのだ。
何せレベルが高くなればなるほど、ゲームというのはよくわからない動きをし始めるものである。試合展開やキャラの動きが速すぎてカオスになりがちな格ゲーでは特に。
三人が呆れとも圧倒とも言いきれない表情をしている中、勇輝とグレンは未だ興奮冷めやらぬ様子で、ほとんど同時に「さて」と声を上げる。
「じゃあ、リベンジマッチを――」
「待てグレン」
言いかけたグレンを、日向がやれやれといった顔で制した。
「再戦もいいがその前に、黒神たちに話さないといけないことがある。ちょうど居合わせたなら、今話してしまった方が早い」
日向の言葉に、グレンははっと思い出したようにゆっくり席を立つ。
「話さないといけないこと」が仕事――龍使いとしてのことに違いないと察した勇輝も、椅子から立ち上がる。
「話……つっても、こんだけうるせーとな。近くに喫茶店あったろ? そっちに移ろうぜ」
シブキの言うように、あらゆる音が絶えず鳴り響くゲームセンターでは、落ち着いて話をするのは困難だ。
彼の言葉に異を唱える者はおらず、五人はそこを後にしたのだった。
二十三区とまではいかないものの、李雨日市はそれなりに発展した都市だ。
そんな李雨日の大通り、商店が立ち並ぶその一角には、小洒落た喫茶店もある。全国チェーン店だが安っぽさはなく、アンティークで落ち着いた雰囲気が地元住民からは人気なのだ。
はしゃぐ子どももそう多くはなく、何かと静寂を好む客が引き寄せられるのか、その日も店内には穏やかな空気が流れていた。人はそれなりに入っているし、話し声が一切ないわけでもないが、大声で談笑する者はいない。
店の奥、角のテーブルを選んだ五人が頼んだものはそれぞれ、シブキと谷北がアイスティー、勇輝がアイスコーヒー、日向がホットコーヒー、グレンがホットティー。シブキは水だけでも構わないと内心思っていたのだが、さすがに店に入って何も頼まないのは忍びなかったようだ。
しばらくして、ウェイターが飲み物を置いたトレイを運んできた。三つのグラスと二つのティーカップをテーブルに置くと、ウェイターは気の良い笑顔を浮かべて「ごゆっくりどうぞ」と言い残し、別の客のオーダーを尋ねに向かう。
ウェイターが去っていったのを確認し、日向はやや声を抑えて話し始めた。
「まずは、先日の谷崎捕縛の件だ。大事に至る前に動いてくれたこと、協会に所属する龍使いとして礼を言う」
「やるべきことをしたまでさ。……んで、話っつーのは大方、その谷崎のことなんだろ?」
「お察しの通り、だ。事情聴取で色々と出てきたものでな。お前たちは支部員と遜色ない程度には任務をこなしているし、実績も信頼もあるから共有しておきたかった。次に任務を頼むときにでも話す、と支部長は言っていたが……まあ、早い分には問題ないだろう」
そこで一度話を止めて、日向はホットコーヒーの入ったティーカップに口をつけた。一口だけ飲んでから、彼は続ける。
「シブキ、黒神。異獣に加味する人間や龍が稀にいることは、知っているな?」




