表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/223

   12/17

 自分の年齢を答える際、少しシブキが躊躇ったように見えた。フォローするように勇輝が割って入ったのもどこか違和感がある。小声でシブキが礼を言ったのも、なんとなく、疑問が浮かぶ。


 由紀は気がついてはいたが、特段気に留めないことにした。彼らが(黒なんとかの方は由紀にとってムカつく部類ではあるが)信用に足る存在であることは、ハズレなしの勘のおかげで十分わかっているからだ。


「歳近いね! じゃあ二人とも高校生?」

「勇輝はな。俺はまあ、社会人だな」

「この辺りに住んでるの?」

「ああ。李渦町にでっかい屋敷があってな」

「あ、それ知ってる! あの豪華なお屋敷? あそこシブキくんの家なの⁉︎」

「いや、あそこは勇輝ん家だ。俺は色々あって、居候させてもらってる」

「へぇ、一緒に住んでるんだあ」


 由紀の語調にはわずかに羨望の意が滲んでいる。それが勇輝にバレてしまったらしく。


「羨ましいか」

「息をするように煽ってんじゃねーよ」


 しかし由紀は好奇心のせいか、勇輝のマウントなど眼中にすら入っていない。もっと興味をそそられる質問が思い浮かんだようで、ぱっと顔を明るくしてシブキに問う。


「じゃあじゃあ、シブキくん昨日帰るときに自分のこと水龍って言ってたけど、あれどういう意味⁉︎ なんとなく嘘とか例えとかじゃない気がしたんだけど、もしかしてホンモノの水神様とか⁉︎」

「――!」

「……ほう。ただの猪かと思っていたが、存外鋭いな、この女」


 由紀の問いに、二人の空気が少し変わった。


 緊張? 警戒? それとも関心? 意表を突かれたようにも見える。


「あれ……私なんか、変なこと言った?」

「いや、変じゃねぇさ」


 そう言いながらも、シブキは何かを思案している。顎に右手を当ててしばらく考え込んだ後、シブキは由紀と目を合わせて口を開いた。鋭いサファイアが貫くように光る。


「じゃあ。俺が本当に龍だ、っつったらお前、どうする?」


 試すような言い方だ。しかしその真意までは掴めない。


「どうする、って……んー…………」


 ぐっと眉間にしわを寄せ、唸りながら悩む由紀。組まれた腕がぱっと解かれて、由紀が答えを出したのは、それから十秒くらい経ってからのこと。


「カッコいいと思う!」

「……」

「……」


 由紀の返答に、二人とも何も言わなかった。シブキは目を見開き唖然としており、対する勇輝はなんとも言えない顔をしている。


「…………さっき、鋭いとか言ったが訂正する。ただの馬鹿女だ」

「なっ!」

「……ふっ、ふはっ……!」

「ちょ、シブキくんまで!」


 盛大にため息をつく勇輝の隣で、シブキがけらけら笑っている。由紀は笑われることなど言った覚えがないので遺憾と言いたげだ。


「だ、だってお前、散々悩んだ結果がコレって……くくっ……」

「そんなに笑わなくてもいーじゃん! 大体聞いてきたのシブキくんだし!」

「ははは、わりィわりィ。まあ、お前みたいなバカは嫌いじゃないぜ。けどさすがに、今時小学生男児でも言わねーような返答、予想してなかったわ」

「だって、どうする? って言うから」

「今のが本心で言った言葉なら救いようもない阿呆だな、お前」

「アンタは黙ってて!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ