表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
156/223

   5/10

「ワクワクだけで終わればいいがな」


 楽しげな声で言う御神楽に、勇輝はさらっと不穏なセリフを放って席を立つ。そんな勇輝に内心震えながらも、御神楽と由紀は先行するシブキたちについていく。


「まずはポルターガイストから見ていくか。生物室だったよな、御神楽」

「うん。この階にあるし、一番近くていいかも」

「ああ。それに多分、危険度も低い」


 とつ、とつと足音を鳴らして廊下を歩きながら言うシブキに、御神楽は首を傾げた。


「危険かどうか、わかるの? もしかして怪異系詳しかったり? あっ、仕事って、実は祓い師とか――」

「違う違う。……いや、怪異っつったら、相手にしてんのはまあまあ怪異だが、エクソシストとかじゃねーよ」


 まあ、側から見れば妖怪退治に見えなくもないが、恐らく御神楽が想像しているであろうものとは相当異なるだろう。


「なあ勇輝、お前も大体見当つくだろ? ポルターガイストといえば」

「……ああ、アレか」

「そ。ピアニストの方もなんとかなるだろ。問題は階段と、『蝋燭さん』ってヤツだよ」


 話している間に、四人は生物室の前に到着した。御神楽と由紀に一歩下がるよう指示し、シブキと勇輝が扉と向かい合う。校長に許可を得た際預かった鍵を鍵穴に差し込んで回し、戸を開けて薄暗い生物室の中へ。電気をつけても、何かが起こる気配はない。


「さて。どうくるかな」

「なんにもない……みたい、だけど」


 躊躇いがちだが好奇心が勝ったようで、御神楽と由紀も後から入ってくる。


 そんな二人に、勇輝が呆れた眼差しを向けた。


「お前たち、無用心に入ってきてよかったのか?」

「え? でも、何も起きなそうだよ」

「……まあ、この程度の瘴気には気づけないか」


 勇輝は小さくため息をこぼし、――不意に、御神楽の手首を掴んで自分の方に引き寄せた。驚く御神楽の頭の後ろを、何かが風を切って飛んでいく。


「……え」

「なになになになに⁉︎ 何! 今の!」

「ハサミだ。『ポルターガイスト』だよ」


 勇輝が指を指した先は、入ってきたばかりの扉がある壁の方。その下に、生物室に備え付けられた実験用のハサミがひとつ、落ちていた。


 飛んでくるハサミに数秒早く気がついた勇輝が動いていなければ、今頃それは壁ではなく、御神楽のこめかみを刺していただろう。


「お前ら、あんま動くなよ! 勇輝! 二人を頼む!」

「わかった。行ってこい」


 シブキは三人をその場に残して、部屋の奥、実験器具が閉まってある棚へと向かう。拒むように、次々とメスシリンダーやら顕微鏡やらが飛んでくるが、シブキはそれを全て見切り、かわすなりキャッチするなりしながら進む。


「ったく、よく()()。俺は()()()種族だぜ、小鬼ども」


 言いながら、シブキは実験器具が入った棚の前――一見何もない空間に、迷いなく踵落としを見舞った。すると何もなかったはずのそこに、小さな球体が現れる。攻撃は直撃した。


 伸びてしまったそのまんまるい何かは、目玉鬼とよく似たシルエットではあるが目玉も鉤爪もなく、かわりに裂けた大きな口と、触腕の先には人のそれに似た形の、物を持つことに特化した手を有している。


 消滅していく小鬼を見ながら、後ろの方で由紀が縮こまる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ