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【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.4「ノコギリソウ」
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   5/9

 咄嗟に反応したのはウェルテクスだ。谷北のパーカーを後ろから咥えて、ウェルテクスは飛び上がる。谷北の靴の真下を鋭利なツノがすり抜ける。


 ウェルテクスが翼に受けた傷は浅くなかったらしく、避けた先の空中でふらりとよろめいた。長時間のホバリングは不可能だと悟ったウェルテクスは、"狂化"した影踏み鬼より少し遠いところに着地する。


「ウェルテクス、傷……」

「バカヤロー、自分の心配しやがれ!」


 相棒を地面に降ろし、彼を庇うように前に出るウェルテクス。対する影踏み鬼は、四人の中で今最も弱っているウェルテクスに狙いをつけ、殺気と瘴気とともに力強く駆け出す。


 それを見て、シブキがウェルテクスと影踏み鬼の間に割り込み、叩きつけるような一撃で影踏み鬼を弾き飛ばした。


 続けて飛ばされるであろう地点に先回りしていた勇輝が鎌を大きく振り、細い胴体に溝を入れる。


 畳み掛ける猛攻に不利を悟ったのだろう、影踏み鬼は一度後退し、近場の物陰に潜った。


 身を隠されてはまた振り出しだ。シブキが影踏み鬼の気配を探して警戒を巡らせた――のも、束の間。


 影踏み鬼は、間髪入れずにウェルテクスの背後に現れた。


 痛みのせいか反応が遅れたウェルテクスは、どうにか防御行動を取ろうと身を翻したものの、鋭利で凶悪な二本のツノに皮膚を貫かれる。


「ぐッ……!」


 龍の生命そのものともいえる胸の波動核こそ避けたものの、そのすぐ横二ヶ所がもろに攻撃を食らった。これ以上押されて深く抉られれば、死なずとも戦闘離脱はやむを得なくなる。


 龍使いの危機を救うのは龍だ。であれば、龍の危機を救う役割は――。


 剣を構え直したシブキに、影踏み鬼は突進を開始する。この短時間の間で、すでに折れたツノは回復しているようだった。


 避ければウェルテクスと谷北が危険だと判断し、シブキはそのツノを剣で弾いた。ツノは頬にかする程度で済んだ――が、影踏み鬼の攻撃手段は、ツノだけではない。


 派手に立ち回れないシブキの影に、影踏み鬼のひづめが触れた。それが重なったのはただの一秒にも満たない間だが、影踏み鬼の能力は――空間生成を応用したトラップは、しっかりと発動してしまったらしい。


 シブキの足元がぐらつく。影は先ほど拐われた時と同じく沼のようになり、シブキの足首に纏わりついて拘束する。


「ッくそ、また……!」


 どうにか抜け出そうとするシブキに背を向け、影踏み鬼は狙いを変える。


 赤い単眼、映し出された標的は――。


「勇輝!」


 シブキの声とどちらが早いか、影踏み鬼が凄まじい勢いを持って地面を蹴る。勇輝はその突進を、あえてかわさず鎌で受けた。


 結界を張る暇はない。かといってここで回避して、もし影踏み鬼が影に潜り、その上ウェルテクスや谷北たちを狙ったりなどすれば、どうなるかは目に見えている。故にここで決めようと、逃げずに立ち向かったのだ。


 しかしいくら鍛錬を積んでいて人より力の強い勇輝であれど、所詮は人間。鍔迫り合いが長引けば、確実に圧し負ける。


 影踏み鬼の左ツノの先端が、鎌の防御をすり抜けて勇輝の左肩に刺さる。じわりと滲んだ血液が、ツノと肉の間から地面に滴り落ちていく。当然、ここで波動術を使えるほどの余裕もない。

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