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「我々龍使いの役目は、あなたが遭遇したような化け物ども――我々が『異獣』と呼ぶ生物ですが、それらを討伐し一般市民の安全を確保すること。加えて龍使協会では、他の龍使いたちの活動支援も担っています」

「りゅう……つかい?」

「平たく言えば、異獣を討伐する人間です。原則任務中は二人一組で行動し、うち片方は――」


 そこまで言いかけて、錦の言葉を紡ぐ口が止まった。気をよくしたせいだろうか、少々話しすぎたという自覚があった。


「……まあ、この辺の説明は長くなりますし、複雑ですので割愛を」


 錦がそう言って話を切り上げようとしたが、由紀は何やら唸って考えている。


「龍使い……そういえばシブキさん、自分のこと水龍って言ってたっけ。シブキさんも龍使いなんですか?」


 由紀が尋ねた瞬間、錦が鋭い眼で一瞥した。びく、としたのも束の間、錦はすぐに目を逸らし、いらついた様子で小さくため息をつく。


「…………漏らしたのか、あいつ」

「へ?」

「いえ、なんでも。彼は龍使いとは少し異なります。まあ説明するのは面倒なので、シブキたちが来たら彼らにお尋ねください」

(なっ……投げた! 投げたよ! 言葉丁寧だけどもう面倒になってる! でもさすが副支部長、敬語なのに有無を言わせぬ威圧感ッ!)


 よく見ると錦の表情にはうっすら疲労の色が見える。副支部長も苦労しているんだな、などと他人行儀に思いながら、由紀が湯呑みに口をつけたのとほとんど同じタイミングで、コンコン、と軽快なノックの音がした。


「すみません、黒神ですが」

「来たか」


 扉越しに聞こえてきたのは、昨日シブキと共に戦っていた青年の声だ。名前は何だっただろうか、確か、黒神……なんとか。本命以外は由紀の記憶にあまり残っていない。


 とにもかくにも、いよいよ憧れの彼と再会だ。興奮のあまり、少々乱暴に立ち上がる。


「突然呼び出して悪かったな。二人とも」


 かちゃりとノブが回転してドアが開き、焦がれていた姿が現れる。紛れもなく、昨日助けてくれた由紀の王子様だ。


 茶色のブーツをカツカツと鳴らし、颯爽と部屋に入ってくる。この前のマントは着けていないようだが、すらりとした細身故かスポーツジャージだけでも様になる。黒い髪の下、鋭い三白眼の中に宿されたタンザナイトが、窓から差し込んだ光を反射して煌めく。


「いえ、構いません。ご無沙汰してます、副支部長。で、俺の客人ってのは――」


 きょろきょろ動く藍色は、由紀の茶色い瞳とかち合って止まる。


「ああ、確かに昨日の。由紀、だったか」


 シブキは口角を緩く上げて由紀に微笑む。キラースマイル、イチコロである。


「かっ……顔がいい」

「ん?」

「それはそうと……おい、シブキ」

「あ、はい。なんでしょう」


 錦が声を小さくして、咎めるようにシブキに耳打ちをする。


「……お前、龍であることを漏らしたそうだな。こともあろうか一般人に」

「あー……いや、まあ……もう会わないモンだと思ってましたし、戦闘もがっつり見られてましたから。普通の人間じゃねーのはバレてたのでいいかな、って。それにほら、別に隠さなきゃいけないことでもないですし」

「馬鹿言え、いいわけないだろ。おかげでややこしくなってるんだぞ。その辺りはお前たちで説明しろ。ああそれと二人とも」


 今度は勇輝にも目を向けて、錦は低い声で唸るように言う。

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