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【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.4「ノコギリソウ」
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   4/8

 兄弟たちの会話が一区切り終わったのを見計らって、柚木と錦が勇輝の方へと歩み寄る。


「やあ、勇輝くん。遅くに呼んでごめんね」

「いえ、平気です」

「シンから聞いたよ。この前のシニガミコウモリ戦、大活躍だったって」


 柚木がそう言うと、勇輝は首を横に振って謙遜を示す。


「俺はまだまだです。……でも」


 勇輝の視線が柚木から離れて、錦を捉える。


「少し、前を向けた気がします。副支部長のおかげで」


 そう言って軽く一礼する勇輝に、錦の目が細められた。


「俺は大したことはしてないさ。成長したのはお前だ」

「シン、慕われてるねえ。僕にも頼ってくれていいんだよ、勇輝くん!」

「いえ、結構です」

「即答? なんで……?」


 錦に対する柔らかな語調に対し、明らかにテンションの下がったトーンで返した勇輝。悲しげに理由を問う柚木から、す、と目を逸らす。とことん好き嫌いがはっきりした男である。


 そうこう言っているうちに、ウェルテクスと谷北も到着した。公園の時計が示すは夜十時、時間きっかりだ。


「待たせてしまったか! すまないな、皆の衆!」


 夜なので一応声量を抑えながら谷北が言う。しかし声が小さくても何か、うるさいと感じてしまう雰囲気があるのは何故だろうか。


 相変わらず独特な言葉遣いに、シブキが白けた顔をする。


「皆の衆……」

「いちいち気にしていると胃をやられるぞ」

「辛辣だよな、お前」


 ヒョウや柚木たちに至っては慣れているのか触れようとすらしないようだ。龍使いは強い波動を持っているせいか、変わり者が多い。多少ぶっ飛んでいるくらいでは、龍使いを纏める立場である支部長たちは気にも留めないのかもしれない。


「揃ったね。じゃあ、作戦を確認しようか」


 全員が集まったのを確認して、柚木が声を上げた。龍と龍使いたちは意識を任務に切り替え、指揮官である柚木に注目する。


「討伐対象は上位種・影踏み鬼。五体の反応を確認している。うち一体は恐らく"狂化"個体だ。今回は、二手に分かれて討伐する。僕とヒョウ、シンとアクトは、狂化個体のいる南方を。翔とウェルテクス、シブキくんと勇輝くんには、北方の二体を頼みたい」


 すらすらと出された指示に、各々が肯定を返す。


「わかってるとは思うが、影は踏まれねェように気ィつけろよ。特にシブキとウェルは油断すんじゃねェぞ」

「おう」

「了解っす」


 アクトが釘を刺したのは、影踏み鬼の特性の故だ。影を踏んだ相手に変化する影踏み鬼が龍の影を踏めば、龍使いたちは一気に戦いづらくなる。


「……よし、大丈夫そうだね。じゃあ、任務開始だ。戦闘が終わり次第ここに戻ってきてくれ。くれぐれも無理はしないこと。頼んだよ」


 柚木が解散を告げて背を向け、ヒョウとアクトと共に町の南側へと向かっていく。


 錦もすぐにその後を追おうとしたが、何かを思い出したのか、振り向いて勇輝の方に戻ってくる。


「副支部長?」

「ひとつ、言い忘れていた」


 そう言って、錦は闇色の瞳を勇輝に向ける。幼い顔立ちの割に、その目に宿る眼光は鋭い。


「黒神。お前はお前のできることをしてこい。いいな」


 一言一言をゆっくりと、確信させるような声色で錦は言う。たったそれだけを伝えるために、勇輝の背を押すためだけに、わざわざ戻ってきたようだった。

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