表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.4「ノコギリソウ」
PR
133/223

   12/12

 "メイルストローム"をギリギリで逃れた一体のシニガミコウモリは、結界陣に弾かれたのちに抵抗する間もなく渦に巻き込まれ、そのまま溺れて消滅した。


 残り二体はかろうじて渦から抜け出したものの、翼が濡れてフラついている。一旦距離を取ろうとするその隙を、シブキと勇輝は許さない。


 一体はシブキの剣に、もう一体は勇輝の鎌にかけられて、呆気なく消滅していった。


 脅威が去ったのを確認して、シブキは相棒の方に駆け寄る。


「勇輝、怪我は?」

「かすり傷だ。毒もほとんど食らってない。もう抜けてる」


 そう言って勇輝は波動の鎌を消失させ、右腕を上げてシブキに見せる。震えは治まっているようだ。


「はー……ヒヤっとしたぜ」


 安堵の息を吐き、シブキはほっと胸を撫で下ろした。


 そこへ、少し離れたところでシニガミコウモリ二体の相手をしていたアクトと錦が合流する。


「俺たちも終わった。二人とも、よくやりきったな」

「こっちこそ助かりました。兄さんもありがとな」

「おう、気にすんな。……にしてもオマエら、ホントに強くなったモンだなァ!」


 アクトは心底嬉しそうに声を上げた。そんな兄を見上げて、シブキはいつもより少し不器用に笑う。


「兄さんに言われたこと、ちゃんとできたぜ。俺」

「だからオマエならできるっつったろ? 胸張りな、オレの自慢の弟なんだからよ!」


 言いながらアクトはシブキの頭に手を伸ばす――が、いい加減察したシブキはさっと身を引く。


「兄さん、今日はもういいだろ」

「ッハハ、クセだなこりゃ。相当頑張ってたんだ、今回は勘弁してやらァ」


 空を切った右手をひらひらと舞わせ、アクトは楽しそうに笑みを浮かべる。つられるように、シブキも眉を下げて笑った。


 その様子を視界の端に捉えながら、錦が勇輝に声をかける。


「黒神。少し見ていたが、お前もいい動きだった」

「見ていたんですか……」


 アクトと錦の実力であれば、たかがシニガミコウモリ二体にそこまでの時間がかかるはずがないのだ。どうせ戦闘が終わっているなら助けてくれても、とでも言いたげに、勇輝はじとっと錦を見つめる。


「もちろん、本当に危ない状況ならすぐさま加勢していたさ。だがあれほど戦えているなら、助ける必要はないと判断した。無駄に守ってばかりいるのも、お前たちのためにはならんからな」

「結構スパルタですね、副支部長」

「甘やかして死なせるよりはずっといい。……それとも、()()()()でも危険だと判断した方がよかったか?」


 濡羽色の左目が、月明かりを反射して意地悪く光る。挑発的なその言葉に眉を寄せる勇輝を見て、錦は穏やかに笑った。


「冗談だよ。実際、できると思ったから任せたんだ。……黒神、お前は強いさ。自信を持っていい」


 本心なのだとはっきりわかるほど、確固とした声で錦は言う。勇輝はわずかに瞳を丸くして、それから噛み締めるように目を細め、緩く口角を上げた。


「ありがとうございます」


 たった一歩かもしれない。きっと、目指すものにはまだ遠い。


 それでもこの一歩は、大きな前進だ。


 彼らの行先を照らすように、頭上の月は明るく輝いていた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

また一つ成長したシブキと勇輝の姿、いかがだったでしょうか。

楽しんで頂けましたら、評価やブクマ、感想等くださると励みになります!


次回はいよいよ、上位種異獣との戦闘が始まります。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ