表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.4「ノコギリソウ」
112/223

   3/12

「心の問題?」

「ああ」


 男性にしてはやや長めの睫毛が落とす影の下、伏せられたアメジストの瞳が不安そうな色を宿す。


「前から無茶ばかりする奴ではあったが、最近それが明らかに増えた。上位種異獣との交戦の度、あいつの焦りが増している。……俺の力不足も、大きいが」

「アンタの? どういうことよ」

「今回のあいつの怪我は、俺を庇って負った傷だ。あの時、俺がもう少し――」

「……なにそれ」


 勇輝の言葉を遮って、由紀は不満げに口を曲げた。


「アンタだって焦ってんじゃない。シブキくんを支えたいんでしょ? だったらアンタが焦ったら意味ないじゃん。カンペキに戦えるんだったら、異獣なんてとっくにいなくなってるでしょ」


 放たれたのは、戦力になれない由紀が言うにはあまりにも重い言葉だ。戦場に立てないからこそ、彼女は勇輝が見落としたものを見据えていた。


「アンタもシブキくんも同じだよ。自分がカンペキにならなくちゃって焦ってる。力不足とかなんとか言っちゃってさ、それをお互いカバーするのが相棒じゃないの?」


 感情任せに大きくなりそうな声を抑えて、平静を装って由紀は言う。


 真っ直ぐに突き立てられた正論に、勇輝は一瞬ハッとしたように目を見開いたが、すぐにいつも通りの読めない表情に戻った。


「……そう、か。それもそうだな」

「何よ、納得いかないわけ?」

「いや。お前もたまにはもっともらしいことを言うんだなと」

「はあ〜⁉︎ 何その、いつもは言ってないみたいな言い方!」

「事実だろう」


 心なしか最初よりも晴れやかな声色で言うと、勇輝はさっさと階段を登り始める。


「行くぞ」

「ちょっと、自分から振っといていきなり切り上げるのやめなさいよ!」

「文句の多い客人だな」

「客の扱いがずいぶん雑な主人ですね〜‼︎」

「……まあ、」


 真ん中辺りまで登ってから、勇輝はふと立ち止まる。


「おかげで吹っ切れたよ」

「ちょっいきなり止まっ……ん? なんか言った?」

「……」


 ドタバタと騒がしく駆け登ってきた由紀の耳には、控えめに落とされた勇輝の台詞は届かなかったらしい。勇輝は少し呆れた顔をしたのち、はあ、とため息をひとつ漏らした。


「えっ? ホントに何?」

「馬鹿でも捻る頭はあるんだなと感心しただけだ」

「ばっ……何様よこの頭でっかち〜‼︎」

「あまり騒ぐと追い出すぞ、猪」

「は〜ムカつく……!」


 そうこうしているうちに二人は二階にたどり着く。先導する勇輝は三部屋の中から一番左の部屋へ向かい、扉を軽くノックしてから入室する。


「シブキ、来客だ。うるさいのが来た」

「やっぱ由紀か。相変わらず元気そうで何よりだぜ」


 部屋のベッドに座っていたシブキが、由紀の方を見てけらけら笑う。勇輝と同じように、一見すれば負傷しているようには見えない。


「シブキくん、大怪我したって聞いて見舞いに来たんだけど、大丈夫?」

「ありがとな。けどまあ、大したことはねーよ」


 その一言を聞いた途端、勇輝があからさまに不機嫌な顔をした。無言でシブキに近づいていくと、彼のジャージをインナーごと捲り上げる。


 予想外の行動に、由紀は慌てて自分の目元を両手で塞いだ。


「ちょっ、黒神アンタ何して……」

「いいから見ろ」


 いつもより一段低い声がそう指示したので、恐る恐る由紀は手をどける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ