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【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.3「鳴神探偵と李渦の主」
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   10/10

 入室してきたのはヒョウだ。神妙な面持ちでいた彼だったが、弟の視線を感じると表情を和らげる。


「おや。お前はもう起きていたんだね」


 勇輝がまだ寝ていることに気を遣ってか、小さい声で言い、シブキの寝台へと近づく。


「シブキ。お前はまた、随分な無茶をしたね。死にかけだったじゃないか」

「ちゃんと生きてるよ。無茶だったら勇輝も、一目連さんだってしてた。……それにさ、俺が出てなきゃ、こいつが死んでたんだ」


 今日はあまり、とやかく言われたくはなかった。正しいと思うことをしただけなのだ。


「俺は最悪、心臓止まったって再生できるけどさ。こいつはそうはいかないだろ」


 シブキは龍で、勇輝は人だ。種族が違う以上、命の脆さも異なる。


 シブキが天秤にかけたのはそれだ。どちらの命の方が脆いか。


 どちらが犠牲になるのが、最善か。


「それはそうだが……」


「自分の身を大事にしろ、だろ? 俺だって死ににいったわけじゃない。けどさ。自分ばっか大事にしてたら、何も守れないよ」


 初めてだった。シブキが兄に対して、ここまで淡々と言葉を連ねたのは。


 彼の言うことは確かに事実だ。故にヒョウに反論の余地はなかった。しかし普段なら、それでも釘を刺していた。


 そうできなかったのは、シブキの言葉と声色と波動に、狂気的なまでの()()を感じたからだ。


 何を言っても無駄だと――そう、悟ってしまった。


 シブキは珍しく黙り込んだ兄から目を逸らし、硝子の向こうの景色に視線を移す。


 薄く映った自分の姿が、いやにちっぽけに見えた。


「……もう、なんにも失くしたくないんだよ」


 小さな呟きは、果たして誰に対して向けられたものなのだろうか。

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