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【現代バディバトルファンタジー】Spla Brave   作者: 南河天狼
Chapter.3「鳴神探偵と李渦の主」
101/223

   3/10

 いつもより幾分か饒舌に語るシブキを見かねて、勇輝が彼の肩に手を置く。


「あ……悪い、熱くなっちまった」


 勇輝の静止ではっとしたシブキは、一度咳払いをして落ち着きを取り戻した。


「すみません、俺、一目連さんに憧れてたもんで……。名乗ってもいねえのに盛り上がっちまって」

「構わない。背を追ってもらえるのは嬉しいことだ。少々、気恥ずかしさもあるが」


 一目連はシブキに優しく笑いかける。


「君たちのことはセンリ殿から聞いている。水龍の龍魔飛沫くんと、契約者の黒神勇輝くんだったな。抜群の連携だと、ヒビキ殿も褒めていたよ」


 言いながら一目連の視線はヒビキへと向かうが、ヒビキはぷいと目を逸らしてしまう。その様子に、「素直でないのう」とセンリがにやけながら呟いている。


 苦笑を浮かべ、一目連はシブキに向き直った。


「特に、シブキくん。君の噂は、龍界にいた時から耳にしていた。若くして第三階位にまで上り詰め、一部からは敬意を込めて『大水龍』と呼ばれている、と」


「それこそ過大評価ですよ。俺なんてまだまだだ」


 憧れの龍から褒められ、シブキは少しむず痒そうに眉を下げた。


「そんなことはないさ。ヒビキ殿に認められる龍はそういないぞ。……それに」


 ひと呼吸置いた一目連が、どこか懐かしそうな目でシブキを見る。


「君の母上……龍魔水月(りゅうまみつき)は、私の同期でもあったからな」

「――母、ですか」


 そこで、シブキの声のトーンがわずかに下がった。


「ああ。彼女は私などよりもずっと優れた戦龍だった。私の知る限り、一番の水龍だ。君が彼女の息子だと聞いて、ずっと気になっていたんだよ。結局、彼女とは話す機会がないまま、私は引退してしまったのだがね」

「……俺は、母みたいに立派な龍じゃないですよ」


 シブキは困ったように笑ってそう返す。その声がどこか苦しげだと気がついたのは、彼の相棒である勇輝と、察しのいいセンリだけだった。


 彼は母を目の前で亡くしたことに、今でも負い目を感じているのだ。


「母は確かに強い龍でした。俺なんてまだ、足元にも及ばないです」

「経験は覆せない。ミツキが短い生涯の中で駆けてきた戦場の数は、常軌を逸していたからな。焦る必要はないさ。君は彼女と同じものを持っている」


 シブキの言葉が己への皮肉であると勇輝は気づいていたが、一目連は単純に実力不足への悩みだと受け取ったようで、穏やかな声色のまま続ける。


「君の波動はとても優しい。君は、誰かのために動ける龍だ。ミツキもそうだった」

「――そう、ですかね」


 裏表のないまっすぐな言葉は、時に深く刺さることがある。シブキにとっては一目連の一言がそれだったのかもしれない。


 少し不安定に揺らいでいたシブキの波動が、落ち着きを取り戻した。


「……なるほど」


 二人のやりとりを見守っていた勇輝が、ぽつりと零す。


「あ……? 勇輝お前、なんだいきなり。『なるほど』って」

「いや。お前が一目連さんに憧れた理由がわかった気がしてな」

「そりゃまあ、一目連さんはすげえけど……」

「……はあ。まったく、ベタ惚れだな」

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