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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
2章 各領地への遠征開始
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78.地下大坑道

 ミリシア帝国 北部山岳地帯

 危険な魔物が多くいる山を進む者は居らず、ドワーフ達が掘り抜いた地下道を進む事が唯一の方法となる。しかし地下道でありながら地下坑道でもあるため、道は複雑であり案内できる者がいなければ、そのまま永久に道に迷ったままになることもある。

 指定された坑道入り口に到着すると、すでに準備が整っていた三人のドワーフが今か今かと待ち構えていた。


「遅いぞ。 その女はなんじゃ?」


「奴隷」


 元女船長のメアリ・バーンズ、奴隷になってからほとんど口を聞いていない。食事くらいは一緒にしているのだが、奴隷としては好待遇をしているつもりで、食事も服も寝床も通常の雇い人と同じ扱っている。

 船長と言う立場から奴隷に落ちたことが許せないのだろうが、顔もスタイルも良い身でまともに対応している所に感謝はして欲しい。

 普通なら人権もくそもなく娼館に売られるか、女好きの金持ちの性奴隷にされているはず。なにせオーディン王国よりも奴隷の人権がないのだから。


「まぁいいじゃろ。 それじゃいくぞ」


 ドワーフ三人を戦闘に坑道に降りていくと、人間が掘った者よりも丁寧で広く、武器も存分に振り回すことが出来そうだ。


「立派な坑道ですね」


「ドワーフが掘ったんじゃ当然じゃろう。 それよりもこれから長いから覚悟しておけ」


 それから三日間、薄暗い坑道を歩き続け、時に道で横になって仮眠をとりながら進み続けた。坑道は数百キロにも渡る、そこには複数の点在する村があり、経由出きる数箇所を利用する予定だ。

 四日目の昼、ようやく一つ目の村 イリアルに到着した。壁を掘って作られた家々に、光る石を埋め込まれた街灯、石でできた門など、どれも立派な彫刻が成されておりドワーフの技術の高さが良く分かる。


「今日はここでやすむぞぉ。 ……やれやれ老いた身には辛いわい」


「爺さんは大変だな」


「ふん、誰しも歳には勝てんわい!」


 フルガネの言葉にマカスとアグルも、ようやく一息つけると村に入り、酒場を探しにいってしまった。

 ここからドワーフ国 ウルツァイトまであと4箇所の村を経由を予定している。宿屋に移動すると、そこも石造りであり、唯一木でできた扉を開けて中に入ると、ドワーフの女性が受付にいた。

 やはり人間よりも背丈は低いが全体的に分厚く、種族として力に優れているのがよくわかる。

 

「一泊、二人御願いします」


「一部屋一泊1200フリスだよ」

 

 支払い部屋に入ると、石の壁は彫られた装飾がびっしされているのだが、ベッドまで石造り、ベッドの形上に作られた石材の上に毛皮だけが敷かれている。これでは木製より体が休まらない。地下なので藁などが手に入らないので仕方ないのだが。

 

「グレン、毛皮倉庫から出して」


「そうですね。私達の寝床だけでもやわらかくしてください」


 エルとリーアナは不満を述べているが、確かワイルドボアの毛皮がまだしまってあった筈。

 亜空間倉庫から引っ張り出すとちょうど4枚分あった。二枚をエルとリーアナに、一枚を自分に、後一枚はメアリに渡せばいいだろう。


「まずは食事に行こうか」


 メアリと共に酒場に赴くと、すでにドワーフの三人は酒のジョッキ片手に飲み始めていた。彼らは大抵の酒を飲んでも、二日酔いになることはないので大丈夫ではあるが、少々危険な領域に存在する村でも、酒を飲むのを止めないとはさすがだ。

 フルガネ達と同じテーブルに付き、注文をしようとするが良くわからず、お勧めのものを二人前頼む。


「おまたせしました。 キノコとガニザリムシのスープと付け合せのパンです」

 

 地上から輸送される食べ物はどれも高価だが、地下で取れる虫類やキノコ類は総じて安価なのは知っている。

 見た目こそ少々悪いが、キノコと大きな挟みを持つ虫の混ぜ焼きスープは酸味が利いていて非常に美味いらしい。


「私はパンでいいや」


「私もパンでいいです」


 亜空間倉庫にしまってあるハチミツのビンを取り出し、不快そうなエルとリーアナの二人の為にパンにたっぷりと掛ける。残りは少ないので自分はパンを追加しスープだけで我慢。

 ドワーフのフルガネは酒が入っていた水袋を取り出し、店員を呼び出す。


「これに1500フリス分酒を詰めてくれんか」


「あいよ~」


 店員が金と水袋を受け取ると、その分だけ酒を詰めて返した。


「明日からはちょいと厳しい道になる」


「鉱石虫だらけの道だ。 潰せば鉄鉱石くらいにはなるが」


 これからの道について放していると、酒場の扉が乱暴に開けられた。


「カムルの村が毒虫の大群に襲われ救援を求めているぞ!」



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