表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
2章 各領地への遠征開始
48/176

48.モース伯爵領 裏闘技場

 義理の姉の依頼として、王都から馬車で南西に四日、モース伯爵領内にある町に到着していた。

 伯爵領地ともなると、ソーディアン子爵領にある石垣と木製の門に囲まれた村々などと異なり、立派な防壁と門に囲まれた安全な町だ。


「冒険者が町に入るのに入場料が一人2万フリス!?」


 各町への入町や入村料は自由に決められる。

 それは警邏や防犯など兵の維持費などに回されるからだが、ソーディアン子爵領の直轄の町でも1000フリス程度、他の領地でも大体似たような金額、王都に至っては一切費用はかからない。

 それに比べて2万フリスは高過ぎるが、問題にならないよう3人分の6万支払い門をくぐる。


「なんか妙な町ですね~。 市場も活気はあるようには見えるけど皆暗いです~」

 

 ナルタは相変わらずのんびりほんわかしているようだが、この町の違和感にすぐに気付いたようだ。

 確かに人通りは多いが人相が少々悪い連中が多く、大通りに面する店も商売が繁盛しているように見えない。


「まずは冒険者ギルドに行きましょう」


 足早に門近くにある市場を通り抜け、3階建ての冒険者ギルドを見つけることはすぐ出来た。

 ギルドに入るとすぐに荷物が届いていると伝えられ、ナルタとイノは2階の待合室に、私は3階に通される。

 そこは結界の張られた部屋で4名の男女が待っていた。一般的な冒険者の服を着てはいるが、ここにいるのは、全員公爵家に仕える諜報に関わる騎士達、諜報活動に比率をおいているが実力はC級冒険者以上だろう。


「グレン・ソーディアン、モース伯爵が開催している裏闘技場に参加し騒ぎを起こしてもらう。 その間に集まった連中も全て捕らえるが、こちらは本筋の仕事を終わらせる」


 現地で指示に従うように言われていたが、裏闘技場に参加しろと言われるとは思わなかった。


「闘技なんて聞こえはいいが、内容は奴隷や魔物を使った殺し合いだ。 勝者は敗者のすべてを奪え、女ならそれこそ悲惨なものだ」


 王都にも闘技場はあるし、年に2回は命を奪わない程度だが闘技会が行われ、優勝者には高い報酬が与えられている。

 他にも年に一回、殺人奴隷の開放を求めた試合も行われ、優勝者は監視を受けながらでは在るが、兵士として取り立てられ殺人奴隷収容所から出ることが出来る。

 それとは異なり、貴族や金持ち達の危険な享楽の闘技ということだ。


「それでは奴隷として参戦するのですか?」


 机の上に紙の束が置かれていた中から一枚の紙が抜き取られる。


「奴隷枠以外にもゲスト枠というのがあります。 正規の闘技場と比べて数倍の賞金目当てに参加する連中用です」


「身分も素性も問われず参加できる。 ただ顔は隠した方が良い」


「注目を集めるのは難しくないわ。 観客が求める狂気性を満たせばいいの。 大騒ぎにしてくれればなんでも良いけれど」


 差し出された紙を受け取ると偽名が書かれ、参加登録がすでに成されていた。


「お連れの方々はギルドの優良公式依頼がありますので、こちらの依頼が進行している間に行えればと思います」


 ナルタたちが居る待合室に移動すると、沢山の依頼書の中からちょうど依頼を選んだところだった。


ランクなし

依頼 子供の世話

対象 育児室の助手

報酬 半日1200フリス

委細 ギルド育児室に預けられている職員や冒険者の子供の世話。随時募集


 非常に簡単で人によっては絶対遂行不可能な依頼。子供好きのナルタなら大丈夫だろうが、イノはどうだろうか。

二人の表情を見るとナルタは普段どおりニコニコしているが、イノはほとんど無表情で感情が読み取れない。


「お気に為さらずに、私の様な者には命令して下されば良いのです」


 イノは調度品奴隷として主の望む意図を読めるように訓練してきた影響なのか、僅かな仕草などでこちらの考えをある程度読める。

 エルやリーアナには遠く及ばないが、それでも気にかけている程度はわかるようだ。


「ナルタ、もう少しイノに色々教えてやってくれないかな。 まだ以前の気が抜け切っていない」


「わかりました~。 ほらイノちゃん、気にしてくれているのだからそういう言い方じゃなくて~」


「・・・・・・私なら大丈夫です。 年下の子の世話はしておりましたので」


「はい、よくできました~」


 ナルタは優しくイノの頭を撫でる。最初は誰かに体を触れられると一瞬固まっていたのだが、その段階は一応乗り越えられたようだ。


「数日は依頼で戻らないと思う。 予算は渡して置くからギルドの宿を拠点に活動していてくれ」


「がんばってくださいね~」


「後武運を祈っております」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ