⑦ rebirth day
パステルグリーンのショートカットヘアの少女は泣いていた。
一人で膝を抱えて泣いていた。
・・ねえ、あなたはなんで泣いているの?あなたはなんで笑顔じゃないの・・・
「ここには、お姉ちゃんがいないんだよ。大好きなお姉ちゃんがいないんだよ」
・・ここにあなたのお姉ちゃんを連れてくればいいの?・・
「だめだよ、それは。ここはどこか分からないけど、お姉ちゃんを連れてきていい場所じゃない」
・・ここは終わりの場所よ・・
「やっぱりそうなんだ」
・・と同時に始まりの場所でもあるわ・・
「始まりの場所?」
・・そうよ、だからあなたが望めば、あなたが始めれば、どこにでもにいけるわ・・・
「どこにでも?」
・・ええ、どこにでも・・
「私は望むよ、一度は諦めてしまったけれど、前へ進んでもう一度お姉ちゃんに会いに行くよ」
・・笑顔になったわね、樋川姫子・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
亜麻色のロングヘアの少女は後悔していた。
いままでの最も大切な人とのかかわり方を悔いていた。
・・ねえ、あなたはなんで後悔しているの?そしてあなたはなんで笑顔じゃないの・・・
「ただ、優しくするだけじゃだめだったんだ・・・」
・・それで・・・
「それが、彼女の笑顔を奪ってしまった・・・」
・・・あなたはどうしたいの・・・
「もう一度、彼女の笑顔を取り戻したい」
・・・できるわ、そんなこと、あなたなら、簡単じゃない・・・
「君のいうことは本当にいつも根拠がないねえ」
・・・そうかしら。根拠って大切なものなの?・・
「どーだろ。でも、すごく説得性はある。ありがとう」
・・・笑顔になったじゃない、今田律子・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
黒髪のショートヘアの少女には感情がなかった。
感情ではなく合理性を優先してきたことが本当に正しかったのか?
それについて、ずっと考えている。
・・・ねえ、あなたはなんで常に考えているの?そしてあなたは笑顔ができるのかしら・・・
「笑顔なんて必要ないわ」
・・・必要に応じてする笑顔はそうかもしれないわ・・・
「同意してくれるのね」
・・・でも感情から溢れ出る笑顔は、自分と回りを幸せにするわ・・・
「まったく、合理性のない話ね」
・・・そうかしら、感情に従って行動をしたことのないあなたがその判断をできるものなのかしら・・・
「それもそうね。ふっ、そんなことに気づかないでいたなんて、なんかおかしいわね、私。でももう遅いわ」
・・・これから始めればいいのよ・・・
「そうね、これからそれを始めてみるのもいいかもしれないわ」
・・・笑顔もできるんじゃない、八汐留美・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのクマの着ぐるみは虚無感に襲われていた。
殺されるために生まれてきて、計画通り殺されて、、、
これが自分の生まれてきた時からの運命なのか?
死ぬことが自分の生きてきた意味なのか?
まあでも終わったことだし
・・・うまれてきた時に、その意味なんかないわ・・・
「そう、そうだね、おっしゃる通りです」
・・・違うわ、意味はつくるものなのよ・・・
「僕には何もつくれないよ、何もつくってきてない」
・・・作ってきたわ、沢山の笑顔を、あなたのライブによって、多くの人の笑顔を・・・
「作ってきた?僕が?」
・・・そして、あなたは、わたしの笑顔も・・・
「僕が君の笑顔を?!」
・・・そうよ、だから、これからもそれを続けていくために、まだ終わりにはしないでね・・・
「うん、やってみる、君と君の世界を笑顔にすることを」
・・・そうそう、もう一度始める時に、姿を選ばないといけないわ、どちらか一方を・・・
「はは、それは君に任せるよ、僕のお姫様」
・・・いい笑顔ね、マイケル・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・そして、もうここは、あなたの望む世界ではないわ・・・
「俺ももう疲れた」
ならば、あなたはいくべきとところに帰りなさい、瀬島龍吉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
黄金に煌く神殿は、ふんわりと地面に着地する。
煌く光の中心には、5人の人影。
よく見ると、彼らの足元にもう一人、倒れている人物がいるのだが。
「ひ、姫子!」
「お姉ちゃーーーん!」
「リ、律子!律子なの!」
「明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!明菜!」
「留美!本当に留美なの!」
「みればわかるでしょ。桐子」
「えっ、今なんて?!桐子って呼んでくれた?!!あたしの名前呼んでくれた!!」
終わりの場所から始まりの場所へ、そして現世に戻ってきた樋川姫子、今田律子、八汐留美、
そして・・・
「はは、やっぱりこっちを選びましたか、心美は」
クマの着ぐるみは、心美を見つめて苦笑する。
「みゆきが、私に任せるっていったじゃない」
「そうだね、まあ、残った僅かなかりそめの時を、この姿で過ごすのも悪くないかな」
「みゆき、残念だけど、そうも、いかないわ。あなたのテロメアは普通の人間のものに変えてあるから」
「えっ心美!そんなー、やっぱ取り消し!さっきの取り消し」
樋川沙耶と樋川姫子、湊川明菜と今田律子は号泣しつつ抱擁を続けた。
八汐留美は、筒ヶ谷桐子に一方的に抱き着かれるだけであったが。
「オーナー、これは、一体?」
「月野、よくわからないが、弓巻心美は、やはり神様になったようだな。
ただ破壊ではなく再生のな」
「でも、なんかあの3人はちょっと雰囲気が変わったような気もしますが」
「月野、気のせいだろ」




