② 養成所と自動演奏人形
ここは第6小隊の富家満智七海の自宅の工房。
八汐留美を除いた第6小隊の4人が集まっていた。
「なんで、留美は、来てねえんだよ」
「桐子ちゃん、仕方ないよ。留美さんは、明日からの重要な用事の準備があるらしいんで」
「麻衣、こっちだって重要だろ、あとさ、写真とって!SNSに上げるから」
「桐子ちゃん、会議中だよ」
「じゃあ、各パートの最終確認よ。ボーカルは倉木さん、筒ヶ谷さんがギター、富家満智さんがベース、私がリーダーでドラムってことでいいよね」
「留美は?」
「八汐さんは、バイオリンでしょ。筒ヶ谷さん、さっき説明したでしょ」
「そうだったっけ、うーすけ。てバイオリン??まじかよ」
「桐子ちゃん、留美さんは、結構有名な配信者でバイオリン弾いているんだよね。」
「富家満智、まじそれ?ってか、今時配信者とか古くね?まじ回線なんか滅多につながんねーし、規制ばっかだし」
「で、バンド名はどうするの? みんな、案を出してくれる?」
「筒ヶ谷桐子とその仲間たち」
「却下」
「普通の女子高生がバンドやってみた、略してフツバンってどうかなあ、普通でいいと思うけど。」
「富家満智、それ却下。それバンド名として普通じゃないっしょ、ありえないでしょ」
「あの私はこのバンド活動を通じて、自分が変わりたいと思っているんですよ」
「麻衣子、長いわ。却下。それと写真とって!」
「桐子ちゃん、だから『変化』を名前に入れるのはどうかな。ドイツ語で変化ってメタモルフォーゼていうよね。それにシンフォニックとかを合わせて、メタモルシンフォニカとかどうかな」
「倉木さん、いいけどちょっと長いわね、じゃあ略してメタニカにしましょう」
「うーすけ、それいい!メタニカとか超いけてる!ロックっぽい!」
「私も普通にアイアンメイデンとかジューダスプリーストとかよく聴くからいいと思うよ。」
「えっ?、私は、モル・・・いやいいです。メタニカでいいです。」
「みんな賛成だね。バンド名はメタニカで決定。じゃあ麻衣、記念に写真とって!SNSに上げるから、メタニカ結成って」
「で、最後なんだけど、養成所に通う人いる。私も経験者だから、いかないけど」
「私は自主練習にします」
「麻衣は人見知りだからね」
「うーすけ、お前、経験者だったの?あたしは行くよ。初心者だし、一人で練習とかかったるいし」
「桐子ちゃん、養成所に行くんだー」
「行くっしょ、富家満智、普通行くっしょ、初心者は」
「普通は行くもんなんだ、じゃあ、私も行きます。」
「わかったわ。じゃあ、養成所に行くのは筒ヶ谷さんと富家満智さんね。バンド名と合わせて私のほうから申請しとくわ」
「うーすけ、よろしく。あと、麻衣、写真とって!」
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翌日も、少女たちは昨日を同じビルの会議室に参集されていた。
「皆さま、お集まりですね。では、各小隊に提出して貰ったバンド名の発表をお願いします。順不同です。バンド名の由来などあればお願いします。では、まずは、第3小隊湊川さん、どうぞ」
「アザリアよ。アザミとダリアをつなげた造語よ。アザミの花言葉は「報復」。ダリアには「裏切り」いう意味があるわ。以上よ」
「うわっ、なんか怖そうね。じゃあ次、第2小隊。リーダーの鵜沢さん」
「えっあたし?バンド名はいつもドールズです。ねえ凛、なんか言ってよ」
「いつも通り。」
「あ、ダジャレね。ありがとう。次、第4小隊。隊長の綾香さん、どうぞ」
「はい、第4小隊あらため、パチュチェル、あっ、ご、ごめんなさい、パチュテル、えっ、パテチョル、、」
「パなんとかね。次第6小隊。三葉さん」
「メタニカです。メタモルフォーゼとシンフォニックを合わせた造語です」
「その略だと、どっちのイメージもないわね。次第5小隊。弓巻さん」
「私たちは戦争で世界を平和にするわ。ハッピー!ラッキー!!スマイル!!!ふぇーーーーー儚い」
「長いわね。最後、第1小隊。小山香織さん」
「私たち、せっちんハイスクールですっ!」
「ちょまっ!香織てめええええ」
「何?紗理奈」
「おめえ、それ昨日決めた名前と違うだろ、全然違うだろ!」
「えっ、紗理奈が出した案、通りだよ」
「せっちんじゃなくて、パッピン! パッピンキャンディ!そう言っただろ!」
「そうだっけ?」
「なんでパッピンがせっちんになるんだよ!どう聞き間違えたらそうなるんだよ、お前、せっちんの意味わかっているのか?」
「もちろん、分かってないよ」
「それにお前、キャンディじゃなくて、なんでハイスクールなんだよ。おめえベッピンハイスクールとか頭にあったからだろ!ッピンまで覚えていたのに、なんでそれがせっちんになるんだよ!」
「紗理奈、いいじゃん、別に。理恵りんもいいと思うよね」
「うん、香織ちゃん、私はいいと思うよ。同じような感じだし。」
「せっちんとパッピンじゃ全然違うだろ!理恵!チョコとうんこぐらい違うんだぞ、お前、もしチョココロネじゃなくてウンコロネだったらどーすんだよ」
「紗理奈ちゃん、それはちょっといやかな」
「ちょっとかよ、ちょっとでいいのかよ!」
「もう、内輪揉めは後にしてよ。せっちんハイスクールの皆さん」
「ちょまっ、まりなさん。これ訂正お願いしゃす。お願いしゃす。」
「四ツ谷さん、残念ながらもう正式受理されたから当分無理よ」
「うええ、まじかあ、おい、香織!どうすんだお前責任とれよ」
こうして小隊のバンド名は無事に決まる。
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ここは新宿の某所にあるドールズの養成校。
結局、ここに通うことにしたのでは、杉原果歩と筒ヶ谷桐子と富家満智七海だけであった。
「おい、留美!なんでお前がここにいるんだよ!」
「筒ヶ谷さん、なんでって、私がここの講師だからよ。三葉さんから聞かなかったの?」
「聞いてねえよ。そんなこと」
「それ言ったら、桐子ちゃん来なかったかもね」
「富家満智さん、そうね。三葉さんはわざと言わなかったのかもね」
「なんで私が留美に習わないといけないんだよ」
「筒ヶ谷さん、ここに来なくて、同じバンドメンバーとしてあなたを指導することになるから同じことよ」
「わ、わかったよ、留美」
「では、皆さん、私がここの講師の八汐留美です。音楽理論、作曲、編曲、楽器演奏、歌唱の指導します。
では最初に楽器演奏から始めます。皆さんは、課題曲ナイト・オブ・ナイツをそれぞれの楽器で演奏してください。
ちなみに優秀な演奏は、再生数稼ぎのために私の動画チャンネルに上げますので皆さんしっかり頑張ってください。」
「えっまじ、登録者数30万の留美のチャンネルに上げてくれるの?留美!メイク直してきていい?」
「筒ヶ谷さん、あなたたちの顔出しはないわ。」
「なんだよ、つまんねーなー」
こうしてドール候補生たちは、めいめいに演奏を開始した。
そんな中、演奏を開始しようとしない生徒がいた。
富家満智七海である。
怪訝に思った留美は七海を睨み、声をかける
「富家満智さん、あなたはどうして演奏を始めないのですか?」
「だって、るみるみさあ、BPMの指定がないから、普通はどれくらいのかなあ」
「富家満智さん、BPMを指定すれば弾けるのですか?」
「うん」
「では、360いや720で」
「わかった。ありがとう、るみるみ」
富家満智七海は、演奏を開始した。
ありえない速度で。
周りの生徒たちは思わず息を飲んだ。
「では、結果を発表します。BPMと演奏の正確さでの評価です。譜面に対する実演奏の正確さは各音符に毎にperfect、great,good,bad,missで評価しています。」
補助講師から結果表を受け取った瑠唯は淡々とした表情で口を開いた。
「BPMの1位、富家満智七海さん。720BPM」
「すげえええ」
周りがどよめく。
「でもこの結果は?」
留美は怪訝な表情をして、再度、結果表をよくみる。
「うん、間違いないわね。富家満智七深さん。オールgoodです。」
「うえ、富家満智すげえな。お前」
「え、普通だよ」
「全然普通じゃないだろ、ベースでナイト・オブ・ナイツを720BPMとかありえないだろう」
「たまたまだよ」
「たまたまでオールgoodとかできないだろ、なあ留美。そうだろ」
「まあそうね。でも私的には、再生数稼げるネタができたので問題ないわ。では次の講義まで休憩にします。」
「わたし、またやってしまった・・・」
そう言って悲しげな表情をする富家満智七深であった。




