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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その弐:就職してみませんか
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愛里に何がおきたんだ?

 愛里の家はフォッシャーさんの事務所から車で十分のところにあった。彼女の家はこじんまりとしていたが、しゃれた一軒家でセンスのよさを感じさせるものだった。


 彼女の話によれば、大学在学中だったがとある事情で休学中で、何もしないのもアレなので俺が働いていた回転寿司屋でフリーターのアルバイトとして働いていたとのことだった。もっとも岡島には理由はよくわからないけど、嫌われていたのでシフトの不満を言っただけでクビになったが。


 本当なら岡島のその行為は不当労働行為なので、訴えればそれなりの対応をしてくれるはずだけど、誰もそのようなことをしないので、彼女も何もしなかった。

 もっとも、風雅寿司の社員でも「気に入らない」や「何かに取り付かれている」などでクビになっても、誰も訴えなかったのは、誰も働きたいと思えない職場だったからだ。これが大企業や公務員だったら争うところだろうけど、そんな価値もない職場だしとっとと別の会社に転職すれば良いだけの話だった。だから俺もクビになってせいせいしたぐらいだったが。


 それはともかく、俺とお袋とフォッシャーさんの三人は愛里に会うことが出来た。彼女は体調を崩してずっと休養しているとのことだった。その時、家には彼女の母親もいっしょにいたが、少し警戒気味だった。その理由は後でわかったが。


 「フォッシャーさん、お久しぶりです。今日はわたしのお見舞いだそうで、ありがとうございます」


 愛里はパジャマ姿で現われた。彼女の話によれば医師にも原因がわからない症状で、休養するようにといわれているとのことだった。彼女のその時の姿は”病弱な少女”といった雰囲気だった。


 「この前は俺の送別会に来てくれてありがとう。今日はフォッシャーさんと俺のお袋と一緒に来たのだ。この前のお礼というわけではないけど、俺が作った料理なんだけど、食べてくれるかな?」


 「ありがとう。でも、その女の人、山村さんのお母さんなの? なんかお姉さんみたいだし・・・」


 予想はしていたが、やっぱお袋は若く見えすぎだった。御歳おんとし七十二歳といったらもっと驚くだろうけど。それにしても、なんでフォッシャーさんはシングルアイ・フィッシュなんて気色悪いものを愛里にくわそうとしているのだろうか?


 それはともかく、一同の前には俺が作ったいろんな料理が並べられた。もちろん、あの気色悪い魚を使った料理もあった。そしてフォッシャーさんは身体が良くなるといって得体の知れないお茶のようなものを注ぎ始めた。


 その時の料理は、結構豪華な料理だった。それを作るのに俺とお袋が昼前までかかってしまったが。でも、これだけの料理を目の前にすれば誰もが笑顔に間違いなくなりそうだった。だから五人の話は盛り上がった。


 そんな宴も終盤に差し掛かったところで、突如愛里が苦しみ始めた。俺はあまりのことで驚いたが、一緒の料理を食べたのに何故彼女だけが? まさか病気を悪化させたのか? とても気ががりで心配してしまった。


 「愛里! 大丈夫なのか?」


 「ええ、でも顔が暑いわよ! なんか溶解するみたいに!」


 そういうと、愛里はうずくまってしばらく動かなかった。しかし五分ほどして彼女はすがすがしい声でこういってくれた。


 「お母さん、山村さん。フォッシャーさん。わたし大丈夫ですよ! なんか生まれ変わったようで気持ち良いわよ!」


 そういって立ち上がったが、何かを知っている三人はともかく俺は自分の顎が落ちてしまうかもしれないと思うぐらい唖然としていた。愛里の顔! 彼女に何がおきたというのだろうか?



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