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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その弐:就職してみませんか
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紗那に呼び出された憲太

 紗那は携帯電話で憲太を呼びつけた。もうハローワークの手続きが終わった頃だと思ったからだ。それで憲太は指定された喫茶店にやってきた。すると目の前には多くの皿が積み重ねていた。その多くは紗那が食べたものだった。


 紗那と憲太の親子二人の山村家はどちらかといえば下流階層に属するような暮らしぶりだった。その原因といえば二人とも稼ぎがすくないということもあったが、共にが大食いで家計のエンゲル係数が高すぎるというのも理由だった。


 彼女が大食いの原因といえば・・・新陳代謝がはやいということもあった。老化も遅く長寿による副作用だった。実際、食料が不足すればすぐに体重が激減してしまう身体だった。そのせいかふたりとも”痩せの大食い”といわれるような体型だった。


 それはさておき、紗那は憲太が席に着くといきなり話し始めた。傍から見るとそれは姉が弟にでも離しかけているようにみえた。


 「憲太、これから仕事をするつもりあるの?」


 「ああ、いつかやるつもりはあるさお袋。前みたいにひもじい思いはしたくないし。でも、しばらく失業保険でお休みしたいけど、いいよな?」


 「それはいいよ。でも何かしらの仕事はしてよね。わたしなんか中学を卒業してから五十年近く働き続けているんだから」


 その言葉に隣で紗那の食事量に呆れていた客がずっこけていた。どうも会話を盗み聞きしていたようだ。見た目がアラサーの女が冗談で言ったのかとおもったようだ。


 「そういえば・・・なんでフォッシャーさんと一緒なの? 先日はお世話になりましてありがとうございました」


 「憲太君、今日はお母さんとお話したんだけど、今日ハローワークで特命部特殊就職課を名乗る女とお話しなかったかな?」


 「はい、なんか胡散臭い雰囲気だったけど・・・」


 「そうか、潮美だからな・・・なんか具体的な事はなさなかったかな?」


 「いや、別に。でも国が支援しているなんて信じられなかったけど。なんかトンデモない仕事をやらされそうな気がしたけど」


 「そうか・・・まあ、将来の事は自分が決めることだけど、もしよかったらこっちの話を聞いて欲しいなあと思って、お母さんにも話をしていたんだけど。いままでのように朝から晩まで働く必要は無いけど。時々食事を作る仕事があるんだけど、ためしに来てもらえないかなと思っているんだけど」


 「それって、まさか妖怪がらみじゃないんですか?」


 「よく判ったね、そうなんだ。まあ気が向いたときで良いんだよ。君って失業保険を貰ってしばらくゆっくりしたいと言っていたからね」


 「はあ、そうしたいとおもいます。でもフォッシャーさんの頼みですから、お試ししたいとおもいます」


 憲太のその答えに、フォッシャーも紗那も小さくガッツポーズを取っていた。そのあと、フォッシャーの口から意外な事をいいはじめた。


 「憲太君、君に聞きたかったのだけど君の送別会の時にわたしが持参したパンフレットを読めた女の子がいたよね。よかったらその子紹介してくれないかな? もしかすると、彼女は妖怪の血を引いているかもしれないから」



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