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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その弐:就職してみませんか
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特命部特殊就職課エージェント狐塚潮美

 狐塚潮美を名乗る女性は歳のごろは四十前後で、キャリアウーマンと言った衣で立ちだった。肩書も「特命部特殊就職課」だから格好良いと思ったが、いったい何しに来たのだろうか?


 「あなた以前、妖怪新報社に葉書をだしたことありましたよね。今日はそのことで来ました。本当はこれからあなたの家に行こうと思ったのですが、丁度こっちに来られたので都合が良いのでお呼びいたしました。

 あの葉書の住所ですが日本政府と妖怪の執政官との協定で設けられた、妖怪の居留地でして。そこに届いた手紙によってあなたは妖怪族の一員として認められたのです。実はあなたのお母様も妖怪族の一員ですけど、ずっと政府の庇護下に収まるのを良しとしなかったので長い間所在不明でして、このたびようやく把握できてよかったです」


 その女性は一方的に話をしたが、話す内容が聞いた事無い事ばかりだった。それにしても俺って妖怪族に認定したというけど、それってなんのメリットがあるのだろうか? それよりもデメリットが多そうだった。


 「あのう、すいません。俺は妖怪の末裔のようですが人間のつもりで生きてきました。妖怪族に認定されるとなにかあるのですか? 俺にはなんかマイナスなことのように思えてならないのですが・・・」


 「心配しなくても良いですよ。妖怪といっても何か迫害を受けることはありませんし、一般の女性と結婚することは出来ます。

 それに私もそうですが、妖怪といっても霊能力や妖力といった能力が強い以外は何も変わりありませんよ。まあ私もですけどあなたは人よりも長生きだけはしそうですけど」


 そういって彼女は俺が妖怪新報社に出した葉書を差し出してきた。そこには数多くの書類が添付されていた。その書類は膨大な束であった。


 「そういえば、あなたはフォッシーをご存知ですか?」


 「はい、前職の回転寿司屋で働いていた時に知り合った常連さんですが」


 「彼はわたしの叔父です。彼の本名は狐塚喜八郎定信で、この国が江戸時代だったときから生きているのですよ。彼のほうがその道に詳しいのですが、よろしかったら彼の人材紹介組合を紹介いたしますよ」


 「はい、それはいい話ですね。でも、あなたって政府の職員でしょ。そんなふうに民間業者を紹介してもいいんですか?」


 「それは大丈夫ですよ。私も叔父も日本政府の管理下に入っていますし、妖怪の執行官の監督も受けていますから。それに妖怪の血が入ったものは優先的に就職できる職種はいっぱいあります。同じ妖怪を顧客にしたビジネスなんかは」


 「そんなに妖怪なんているとは思っていなかったんですが・・・実際の所妖怪の血が入った人間は多いいのですか?」

 

 「ええ、多いいですわ。でも大多数の人は妖怪の血を受け継いでいると知らずに一生を終えます。その血に気づいた人に対してケアをするのが私の仕事ですから、まかしてくださいね」


 

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