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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その弐:就職してみませんか
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ハローワーク妖怪係り

 俺はめでたく風雅寿司を退職する事が出来た! 岡島マネージャーによる賞味期限切れや食用にすら適さないといった食材の使用、六本木社長による労働基準法違反など、夏枯れといわれるぐらい話題が少なかった事もあり、マスコミ各社は連日のように報道した。

 なかには相当誇張したものもあったけど、まあ概ね真実のようだと受け入れられたので、そんな回転寿司屋に行く物好きは多くなかった。中には暑いので冷房の効いた店内で持ち込んできた食材を食べる客と呼べないものまでいたようだけど、もう誰も気にもしなかった。どこも閑古鳥だったからだ。


 多くの店舗が一時閉店を余儀なくされたが、開店していてもレーンの中で握って接客してレジをして、といったワンマンオペレーションの店もあったけど、誰もそんな落ち着かない寿司屋に行く気など起きるはずも無いので、ますます悪化していた。


 まあ、そんな状況になっても追い出された俺には関係ないことだった。あとで聞いた話では俺に流れる八百比丘尼やおびくにの血をけがれていると思った拝み屋の事を聞いてクビにしたということだが、実際にはそれが風雅寿司のクライシスの切っ掛けだったようだ。


 退職してから離職票が届いたので俺はハローワークに向かった。失業届けを提出するためだ。窓口で退職願を一方的に書かれたし署名捺印も会社側(岡島マネージャー)がしたと訴えたら、会社都合退職になったので、俺は一週間後には失業保険の給付を受けられる事になった。まあスズメの涙ぐらいの支給だけど、しばらくゆっくりしてから職を探そうと思っていた。すると奥の窓口から急に呼び出された。


 俺は何故か職員に奥の応接間のような立派な部屋に通されたが、そこには偉そうな男とキツネ顔のオバサンが座っていた。そして手には分厚い書類を持っていた。


 「あなた、山村憲太様でよろしいですね。そしてお母様は山村紗那様、旧姓は魚神でしたね」キツネ顔の女はそういったが、なんで俺の個人情報を知っているのだろうか?


 「申し遅れましたが、わたしは厚生労働省特命部特殊就職課の狐塚潮美といいます。今日はあなたに職の斡旋しに来ました」


 「なんですかその特殊就職課って? 聞いた事ありませんけど」


 「そうですね。この課の存在は国家機密でして。関係者以外には秘密でして。もしバレてもそんな係りは存在しないことになっています」

 すると横に座っていた男が口を開いた。


 「わたしはここのハローワークの責任者の中村だ。君はそう人外ってことだよ」


 「人外? それってどういうことですか?」


 「中村さん、人外ってそれは差別用語になりますよ。その言葉って私たちのように妖怪そのものか妖怪の血が一部流れている人の事を意味するのですよ」


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