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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その壱:クビにされてしまった!
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荒魂ブラックマ

 神棚には全国の様々な神社仏閣から取り寄せた商売繁盛のお札が置かれていた。経営者の六本木家はこういった神頼みが大好きで、宗教宗派に関係なく商売繁盛のため信仰しているのは従業員一同の知るところだった。

 特に業績が傾き始めてからは、怪しい拝み屋まで呼んできて加持祈祷してもらうこともしばしばあった。それでも悪くなったので今度はリストラ対象まで選ぶまでエスカレートしていた・・・


 後に六本木社長が言うには、なぜここまでお願いしたのに風雅寿司がクライシス状態になったのか! とヒステリーを起こしていたようであったが、やらないといけないのは神頼みよりもお客様の満足度向上、そして従業員の一致団結だったのではないかといえた。


 それはともかく神棚にはなぜかクマのような姿をしたアヤカシがいた。その姿は北海道土産で定番のサケをくわえたクマの木彫りのようだった。俺は話しかけてみることにした。


 「あんた神棚でなにをしているの? まるでクマのようだけど」


 「なんだってワシが見える? そういうことはお前さん、妖怪の血を受け継いでいるんだな。ワシはブラックマとでも言っとこう。本当は色んな名前があるけど面倒だがらいわねえ。

 ワシはこの神棚にあるお札に宿っていた妖力が凝り固まったものだ。本当は結構力あるんだけども、ここの神棚の設置主がろくでもないから荒魂あらみたまに変化したものだ」


 「荒魂?」


 「その言葉は人間が考えた便宜的なものさ。簡単に言えば神の祟りというわけだ。神頼みするにしても頼んだ人間の心賭けが悪いとかえって災いがあるということだ。

 努力しないのは論外だし、人の気持ちを考えずに自分勝手にしたのでは神は見放すばかりか災いを与えられるという事さ。ここの神棚はいまは災いを起こす箱にすぎないのさ」


 「ってことは、ブラックマは災い神という事なのか? まあろくでもない経営者だったけど今までお客さんや店員を虐げた罰を与えているわけか?」


 「そういうことさ! こんなに無分別にお札を持ち寄って拝んだって、お札同士が相乗効果でマイナスになるだけだって。お札は神様の代理人なのにこんなに競合する神様をあつめてもしかたないのさ」


 「それに神棚にはお客様や従業員の怨念まで集まっているんだ。ほら昔からいうだろ、食べ物の恨みは恐ろしいって。ここの不味い寿司を食わされた客の不満の念が集まっているし、従業員をサービス残業に安い賃金で働かせた恨みも。

 そうそう、お前さん。この神棚はほっときなさい、もう手遅れだから。もうすぐこの寿司屋は・・・全部言う事無いか!」


 ブラックマはそういうと神棚の中央に備えられたお神酒を入れたお猪口に首を突っ込んでいた。その顔はどことなくかわいらしかったが、実体はブラック企業の経営者をもっと深みに引きずり落とす悪魔だった従業員も道連れに・・・


 「まあお前さんはよかったんじゃないか! こんな泥船から逃げ出せて。次はちゃんとしたところに就職するんだぞ。それにお前の妖力、自分じゃ気付いていないようだが、なかなかなもんだぞ。お前さんの恨みの念でワシの荒魂としてのパワーがアップしたようだし」

 そういってブラックマは笑顔で俺に手を振ってくれた。

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