8.強行
夜の街は人がいなかった。
灯りも少ない。
不自然なくらい静かだ。
「……なんだこれ」
ユウマが外に出た瞬間――
爆音。
目の前の建物が吹き飛ぶ。
「は!?」
煙の向こうに、人影。
銀髪の少女、セレス。
その後ろに複数の隊員。
そして――
「……ミナ?」
ユウマは目を見開く。
ミナは一瞬、視線を逸らした。
そのまま、何も言わない。
ユウマの声にも反応しない。
無視。
⸻
セレスが前に出る。
「ユウマ・カザハラ」
「だから違うって言ってんだろ!」
ユウマは叫ぶ。
「俺は犯人じゃねぇ!」
「証拠がある」
「そんなの知らねぇよ!」
⸻
ミナが動く。
一歩、前へ。
セレスとユウマの間に立つ。
「……セレス先輩」
小さく呼ぶ。
「待ってください」
⸻
セレスの視線が向く。
「どうした」
ミナは一瞬だけ迷う。
それでも言う。
「……この人は犯人じゃありません」
ミナは続ける。
「この人は犯人じゃありません」
⸻
セレスは動かない。
「根拠は」
ミナは答える。
「私が見てきました」
「接触して、行動を確認しました」
「戦い方も、考え方も違います」
「この人が、あの事件を起こしたとは考えられません」
⸻
セレスは数秒考える。
だが、首を振る。
「証拠が出ている」
「間違いです」
ミナの声が少し強くなる。
⸻
空気が張り詰める。
セレスが一歩踏み出す。
「ミナ」
名前を呼ぶ。
「お前は優秀だ」
「だからこそ、判断を誤るな」
「誤っているのは――」
ミナは一瞬言葉に詰まる。
セレスが動く。
「対象、制圧開始」
会話は切られた。
⸻
地面が弾ける。
ユウマは必死に避ける。
「うおっ!?」
「話終わってねぇだろ!」
だが止まらない。
攻撃が続く。
ミナは動けない。
(続く)




