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歪んだ世界の中で  作者: わっしょい
第一章 冤罪人【ユウマ・カザハラ】
6/9

5.雨の日も

「……雨かよ」


朝、外に出た瞬間にユウマは顔をしかめた。


空は薄暗く、小雨が静かに降っている。


こういう日は依頼も減る。


「めんどくせぇな……」


ギルドに着くと、案の定人は少なかった。


その中に――


「おはようございます」


いつもの声。


ミナがいた。


「……お前ほんと毎回いるな」



掲示板を見ても、まともな依頼は少ない。


その中からミナが一つ選ぶ。


「これ、どうですか」


「倉庫の見回り?」


「雨の日は魔物が入りやすいので」


「へぇ……そういうのもあんのか」


ユウマは少しだけ感心する。


「じゃあそれでいいや」



倉庫は街の外れにあった。


古い建物で、周りに人も少ない。


雨音だけが響いている。


「なんか雰囲気あるな」


中に入る。


薄暗い。


ユウマは無意識にミナの後ろに立つ。



見回りは問題なく終わる。


魔物も出ない。


ただ、雨音だけが続いている。


帰り道。


まだ雨は止まない。


ユウマは少しだけ空を見上げる。


「……傘持ってねぇ」


「持ってますよ」


ミナが自分の傘を少し広げる。


「入ります?」


「いや狭いだろ普通に」


「問題ないです」


間髪入れずに言う。


ユウマは少し迷う。


「……じゃあ、ちょっとだけ」


ミナの隣に入る。


距離が近い。


無言。


雨音だけが響く。


「……」


「……」


気まずいわけではない。


ただ、少しだけ変な感じがする。


ユウマは前を向いたまま言う。


「お前さ」


「はい」


「ほんと変だよな」


「そうですか?」


ミナは少し考えてから言う。


「雨なので」


ユウマは小さく笑う。



その夜。


ミナは一人、報告をしていた。


「対象ユウマ・カザハラ。行動に変化なし」


いつも通りの内容。


だが、一瞬だけ言葉が止まる。


「……引き続き監視を継続します」


それだけを伝える。

(続く)

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