表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歪んだ世界の中で  作者: わっしょい
第一章 冤罪人【ユウマ・カザハラ】
4/9

4.少しずつの歪み

ユウマの生活は、相変わらず変わらない。


朝起きて、ギルドへ行って、安い依頼を見て、ため息をつく。


「……今日もかよ」


掲示板の前。


そこにはもうミナがいた。


「おはようございます、ユウマさん」


「おう」


このやり取りも、少しだけ慣れてきた。



「今日も一緒に行きませんか?」


「またそれ?」


「はい」


即答。


ユウマは少しだけ顔をしかめる。


「お前さ、そんなに俺と組みたい理由ある?」


ミナは一拍置いてから答える。


「一人だと危ないので」


「いや俺が守られる側なの納得いかねぇんだけど」


「そういう役割です」


「役割って何」


会話はずっと噛み合わない。


でも一緒にいることは増えていく。



依頼は森の薬草採取。


戦闘はほぼない。


ユウマは周囲を見回して歩くだけ。


「これ意味ある?」


「あります」


ミナは短く返しながら、手際よく薬草を集めていく。


「お前ほんと仕事できるよな」


「そうですか?」


「そうだよ。俺より絶対向いてる」


ミナは少しだけ黙る。


「ユウマさんは、そのままでいいと思います」


「どこが?」


「危なくないところです」


ユウマは笑う。


「それ褒めてんのか?」


「はい」



その帰り道。


町の外れ。


ユウマはふと立ち止まる。


「なあ、お前さ」


「はい」


「なんでそんな俺と一緒にいんの?」


ミナは一瞬だけ間を空ける。


「……依頼です」


「依頼?」


「ギルドの」


「そんな依頼あるのかよ」


ミナは視線を逸らさない。


「あります」


「ふーん……変なの」


ユウマはそれ以上深く考えなかった。



その夜。


ギルドの屋上。


セレスは報告を受けていた。


『対象ユウマ・カザハラ、接触者増加』


「……ミナ・クロフォードは?」


『監視対象の一環として配置継続』


セレスは短く息を吐く。


「問題なし」


そう言って報告を終える。



ユウマはまだ気づいていない。


ミナが「偶然の友達」ではないことに。


そしてそれが、少しずつ“日常の形”を変えていることにも。

(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ