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歪んだ世界の中で  作者: わっしょい
第一章 冤罪人【ユウマ・カザハラ】
3/9

3.少しずつ

ユウマは、この町で普通に暮らしている。


冒険者ギルドに行き、安い依頼をこなし、帰って寝る。


それだけの生活だ。


「……またいる」


ギルドの中。


新人冒険者のミナ・クロフォードが、依頼掲示板の前に立っていた。


「おはようございます、ユウマさん」


「おう」


最初はそれだけの関係だった。


ただの顔見知り。



「この依頼、一緒にやりませんか?」


ミナは軽く掲示板を指さす。


「いや、俺ソロなんだけど」


「ソロだから誘ってるんです」


「理由になってなくね?」


ミナは少し首を傾げる。


「危ないので」


「冒険者ってそういうもんじゃね?」


「そういうもんです」


即答だった。


ユウマは少し黙る。


(こいつ距離感バグってんな……)


「まぁいいけど」


結局断りきれず、同行することになる。



依頼は近くの森の魔物討伐。


結果から言うと、ユウマはほぼ役に立っていない。


「うわ、無理無理無理!」


「そこ下がってください」


ミナは淡々と魔物を倒していく。


ユウマは後ろで避難するだけだった。


「俺いなくてもよくね?」


「安全確保できてるので問題ないです」


「それ俺の存在理由どこ?」


「そこです」


会話は成立しているのに、何かがズレている。



帰り道。


「ユウマさんなんか追われてるらしいですね?」


「そうなんだよ」


「なんでなんです?」


「わからん」


ミナは少しだけ間を置く。


「大変そうですね」


ユウマは肩をすくめる。


「他人事みたいに言うなよ」


ミナは即答した。


「他人事ですよ?」


ユウマは一瞬だけ固まってから笑う。


「正直で逆にムカつくわそれ」



その夜。


ギルドの屋上から街を見下ろすセレス。


「監視対象ユウマ・カザハラ。変化なし」


通信は淡々と返る。


『監視継続』


「了解」


セレスは短く答え、それ以上は言わない。



ユウマはまだ知らない。


この“普通の関係”の中に、意図された距離が混ざっていることを。


ただ今はそれでもいいと思っていた。


「……まあ、悪くないかもな」


ミナに対して、そう思っただけだった。

(続く)

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