#6 Candiez Strike
あるとです。
キャラ同士の関係を深めていけばいくほど、
だんだんと腐の関係になってきてしまう。
こんな蒸し暑い野郎共の恋愛なんて
面白くもないでしょ普通……のになぜ!
いや、それがいいっていう人が一定数いるのか。
じゃ仕方ねえや。
「……俺は髙木仁。第2いろは坂で頭張ってる、Candiez Strikeてチームのリーダーだ。」鬼の形相でジュンを睨む。「ほー、チームなんて大層なこった。」
(怖えよそのガタイでその顔は……並の人間ならチビるぜ。こりゃ香取くんも抜けられないわけだ。)
ジュンは心のなかでそう呟いて怯える。が、それを表情には絶対見せなかった。「んで、香取。お前はコイツとバトルしたのか、勝ったのか?」
香取の言った通り、髙木は香取の心配よりもバトルの勝ち負けを気にしていた。「……バトルしました。」「んで……結果はどうなんだ?」髙木は香取に詰め寄る。「……負けました。」
「……勝手に地元の外に出てって、その結果がこれかよ。お前のせいでチームの顔が立たなくなるんだから、やるならちゃんとやれよ、あ?」
髙木に罵倒され続ける香取。チームのエースと言われるほどには速いはずなのに、仲間からはこの仕打ち。ジュンは横で話を聞いていて、我慢の限界だった。
「……なぁ。アンタはさ、なんでそんな勝ち負けにこだわるわけ?」ジュンは、いつの間にか口を開いていた。心の中では怖気づいているのに。
喧嘩じゃ絶対勝てないと分かっているはずなのに。「部外者は黙ってろ。」「いや、黙らねぇ。」ジュンは即答した。
「だって意味分かんねぇもん、勝ち負けでその人の価値を判断するなんてよ。負けた理由なんて本人が一番分かってる事なはずだ。チーム、辞めさせてやれよ。
負けた事実も受け入れてる。だったら十分じゃねぇのかよ? 」髙木はジュンを睨む。「勝負の世界は甘くない。それはお前も分かってるだろ。」
髙木の鋭い眼差しに圧倒されそうになるも、ジュンは怯える素振りを一切見せずに、逆に自分も髙木を睨む。「あぁ、よく知ってるぜ。
アンタがいつまでも人にすがってないと自分を見せられないような人間だってのも、十分にな。」
(やべ、言い過ぎたかも……。)言った後に後悔したら意味がない。だが、そんな考えとは裏腹に、髙木はため息をついてジュンに語る。
「……負けた人間に価値はない。だからこそ、切り捨てるべき人間は切り捨ててきた。コイツは……コイツだけは、仲間内でも特別に速えんだ。
俺はそれを一番理解してる。だからこそ、辞めさせたくねえ。俺の……仲間にとっての一番であってほしい。その願いが俺らにはあるんだよ……分かるか、この気持ちが?」
ジュンは髙木の話の合理性を考えてみる。が、自分とはまるで違う走りの定義に、理解ができなかった。香取のときは簡単に理解ができたのに。
「分かんねぇよ……そんなくだらねぇ願いなんて。」「……あ?」ジュンのその反論に、髙木は彼を鋭く、強い眼差しで睨んだ。
ジュンは胸をぐいと張って立ち上がり、髙木の方へと歩きながら話を続ける。
「まぁ、人の想い願いに首突っ込むのはナンセンスだと分かってんだが……人の意見を無視した思想は分かりたくねえし、分かっても認めたくねえな。
お前、"宏一くん"の意見とかまともに聞いたことあんのかよ、ん?」髙木はジュンに言い返すことなく、数秒黙る。
「……俺は正直、香取くらいの高いレベルの走り屋は、簡単に見つけることはできる。だが、それは実力だけで影響力がない。
簡単に言えばマーケティングさ。顔もよく、腕もいい。広告としてピッタリなんだよ。
そして俺はチームの広告料として、チューニングパーツを揃え、お前のワンビアを強化してきた。
ギブアンドテイクはちゃんと成り立っているはずだ……それの何が不満なんだ、香取?」「……。」
香取は俯いて、何も喋らない。答えようとしても、声が喉を通ろうとしない。声に出せない。「宏一くん、言ってやれよ。」
ジュンは落ち込みかける彼を励まそうと、フォローにはいる。だが、長年抱えていたその言葉は、いざという時に声に出せなかった。(……結局、いつも通りの言えずじまいか。)
「……ホラ見ろ。結局、不満なんてのはないんだ。俺の指示通りに活動するだけで、安定を、安心した地位を得られるんだ。」
髙木は香取に諭すような言い方で語る。が、その奥には何かを企んでいるような、ポーカーフェイスなのに、何か策があるような、そんな表情を見せた。
(いや、俺はジュンさんと出会って、自分を変えるって決めたんだろ。何こんな所で怖気づいてんだ、俺は。根性みせろよ……ッ! )
心の中で、香取は髙木に立ち向かおうとした。今まで出来なかった彼への反論。香取の彼への
「安定した活動と広告力の誇示こそが、俺にとっての理想だ。走る上で重要なのはそれだけ。
勝ち負けはレースの最重要事項なんだ。レースという言葉の本質は、競走にある。純粋に、ただ順位を競い合うことの何が間違いなんだ。この行動のどこが──」
彼が話している途中で、香取がやっとの思いで声を上げた。「……違ぇよ、リーダー。俺がいつ満足してるなんて言ったんだよ……?」
いつも髙木に従順だった香取は、ついに彼に反論した。髙木は初めて見るその姿に、驚きを隠せない。
今まで見せてこなかった、自分らしさを見つけた香取のその姿は、本当に走り屋らしい、勇ましいものになっていた。「何言ってんだよ香取……お前?」
「このチームに入ったのは、走る楽しさを知りたかったから。リーダーの昔の走り方や思想に共感して、俺は入ったんです。
だけど、いつしか勝ち負けに固執するようになって、走る楽しみが無くなっていったような気がして……それが辛いから、俺はこのチームから出たい。
このチームから抜けて、自分だけの力で、走りを極めていきたいって、俺は自分でそう決めた。
知らない誰かが、俺の後を追って走るようになるくらいに、みんなが憧れるような……そんな走り屋に、なりたいから……ッ!」
香取の心の底から出た言葉。誰かが聞かずとも、それはその場にいた全員が理解できた事だった。その言葉に反論する余地なんてものはない。
ただ、髙木たちは黙るしかなかった。「……カッケェ事言えんじゃん、宏一くん。」ジュンは思わず口を開き、ニヤリと笑う表情をみせた。
香取は顔を赤くしながら、照れくさそうな顔を見せる。カッコいいのか可愛いのか、曖昧になってきそうで、ジュンは顔をそらす。
「……おい、地元のうるさい男。」「んだとオメー!?」髙木の急な暴言にジュンは怒りを見せる。
「……俺は、香取の意見は十分理解したつもりだ。だが、その間に割ってはいるお前はなんなんだ。
一体どの立場から物事を決めてるつもりなんだお前は?」髙木のド正論にジュンは何も言えなかった。そりゃそうだ。
身内の話に部外者が突っ込んだら、話がゴチャゴチャになるのは目に見えていた。だが、どうしても弱気な人間を見捨てられなかった。
割って入る事が間違いではないと確信はしていた。が、不安なのは変わらない。結局、2人の間に割って入る邪魔者でしかなかったのだ。
「……わざわざ負けた人間を連れ帰るために、もみじラインまではるばるとやってきて……これでいいのかよ、お前?」
ジュンは色々と考えた挙句、出た言葉がこれだった。後悔混じりだがハッキリとした声で髙木たちに申す。
「アンタらが慕ってる奴は、俺が倒した。それはアンタらにとって屈辱的な事のはず。なら、どーするよ……髙木クン?」
髙木は口をあんぐり開けながら、睨むような目でジュンを見つめる。チームメンバーも、それぞれで顔を見合わせた。
香取でさえ、まるで"何言ってんだコイツ"と言わんばかりの表情を見せていた。それを気にせず、ジュンは話を続ける。
「アンタら走り屋なんだろ、だったら負けた相手を責める前に、ソイツを負かした相手をボコボコにした方がいいんじゃねえのかよ?」
「……つまり、何が言いたい?」髙木は、ジュンが何を言おうとしているのか、大体分かりきっていた。
文脈の流れが簡潔でハッキリしているので、予測もしやすい。それを悪く言えば、ジュンはバカなのである。
それでも、ジュンはバトルに対してはいつでも本気。ただのバカではない、ストリートレースバカなのである。
「……髙木仁、バトルだッ!」
髙木は悪役ではないです。
彼の意見が正しくないことは作中で証明済みですが、
逆に間違ったことでもない、というように書いてます。
彼なりの正しさを求めた結果、こんな性格になりました。
ちなみに顔が怖いのは生まれつきです。
以上、あるとでした。




