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With my R  作者: あると
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4/9

#4 勝利の糸口

あるとです。

今回でやっと香取戦が終わりです。

1人で3話使うってなったら、今後どうなるんだろうと、

自分でも少し心配になっています。

まぁ、どうか飽きないで見てください。

面白い展開を描けるようにこっちも頑張るので。

ヘアピンを曲がる2台。ワンビアとR32の差は、縮まらずとも広がらず、激しい攻防が繰り広げられる。


軽量ながら300馬力を発揮するCA18を搭載するS13は、第二いろは坂用のセッティングが施されていて、その仕様の車を常に操っている香取は、まさに低速コーナーの鉄人。


本来、彼のワンビアはR32よりもバトルを有利に攻められる車なはずだった。なぜ、ジュンは不利ながらもこのコースでの最速タイムを記録しているのか。


それの答えはとてもシンプルで、"相手が遅いから"ではなく、"ジュンが高速コーナーで速すぎる"から。


前回の、GT-Rシリーズに搭載されている可変駆動配分システムである、アテーサETSの説明をみているという前提で話していく。


ジュンの代わりにR32のセッティングを担当している、カフェの店長の岡本は、チューニングの際にアテーサETSのセッティングを変更している。


アテーサETSの最大可動範囲を駆動配分コントローラーによる制御により、リアが流れやすい挙動に変更する事ができる。


岡本のセッティングでは30:60だが、ダイアルスイッチを回すことでこれ以上にもこれ以下にも変更することが可能。


そのため、"状況に合わせて変化させろ"と言われているものの、走行に集中したいタイプのジュンは、その存在をよく忘れている。


実際、今もそうだった。ダイヤルはいつも通り、最大可動範囲が50:50のまま。いつもより少しだけ余裕のあったジュンは、コントローラーに目に入り、その存在を思い出す。


ずっとは目を離せない。すぐにコーナーに備え顔を上げなければならない状況。ジュンはタイミングを見計らう。


(……今だ!)そして、ジュンはダイアルに手を伸ばし、左へ回す。が、一瞬でコーナーがやってきて、すぐブレーキを踏まなければならない。


いつもと違う挙動を扱わなければならないため、ライン取りも変わってくる。その挙動にすぐに慣れなければ、コーナリングで大きく失速してしまう。


「……ッ!」ラインの崩れに真っ先に気づいたのは、ジュンではなく香取。(コーナーでの動きが変わった……リアを流す走りを、R32でできるっていうのか!?)


ワンビアのバックミラー。そこに映るR32の挙動が明らかに違う。今までよりもリアが動くし、ノーズの入り方も鋭い。


挙動がFRに近くなったようだった。(少し変えただけでこんなに違うのかよ!? また挙動戻すべきか、これ?)


ジュンはこのあとに連続する直角コーナー群に突入する事を思い出し、このままでいくことを決める。


(いや、慣れねー挙動だが、イケる気がする……いや、いくしかないッ )立ち上がり重視のラインを狙うジュン。角度の抑えられたドリフトで走る香取。


勝負は、ここでの速さで決まる。(メインとなるコーナーは4つ。1つ目から左、右、左、右と続いていく。


その後はストレート。ストレートじゃこっちが不利なのはよく理解してる。逃げきらなければ……!)


香取が大きく突っ込んでいく。ジュンはその後に続く。小さなコーナー数個を抜け、左直角コーナー。


フェイントモーション無しでリアを滑らせる香取と、大きく車を外に振るジュン。得意の荷重移動で無理やり動かしたリア。


いつもの車の状態でなら鈍重感が身体に伝わってくるモノだったが、アテーサETSの最大可動範囲の制限により、リアがいつもより流れやすく感じれる。


コーナーで素早くフロントをインに寄せられて、コーナー進入、脱出も速い。ただ、それは全てこの挙動に慣れればの話。


さっきまでの、鈍重な車を無理やり動かす感覚と代わり、慣れない挙動に苦戦を強いられる。いつもより踏んでいける、リアが軽い。


そのメリットとなるはずだった部分は、1.5tの重さを誇る車を動かし慣れていた体に対するギャップとして表れてしまった。


(軽すぎる……!)ジュンは歯を食いしばる。ステアを切れば曲がるし、アクセルを入れればリアが出る。今までの"重さを力でねじ伏せる"という走りが通用しない。


アウトラインのガードレールギリギリを通る羽目になるジュン。その姿を横目に、大きいライン取りで綺麗にコーナーを抜けていく香取。


そんなワンビアのリアを眺めるだけで終わりたくないジュンは、すぐに来る次のコーナーに備える。左へ曲がろうとした時の、右向きにかかった荷重を、振り子のように左へ移す。


慣性で車体を曲げていく。いわゆる、慣性ドリフト。ジュンはこの一連の動作が得意だった。一度、一番速く走れる動きと自分の走りがハマったジュンから逃げ切れる人間は、殆どいない。


(逃がさねぇからな、香取宏一ッ!」2台の差が縮まる。だが、ジュンが仕掛けて抜かすために必要な、香取とのアドバンテージはまだ少しだけ遠かった。


(そんな走りじゃ、追い抜かすのは無理な話だ。このまま逃げ切らせてもらう!)悠々と逃げ切りを図る香取。


そして再び左コーナー、C19に突入する。コーナー進入時、ワンビアの車体が大きく振られる。今度はフェイントを繰り出してコーナーを曲がっていく。


前方の香取が繰り出すドリフトは、車のサイズを利用したブロックでもある。それは、まるで道路いっぱいに広がるバリケードのようなもの。


(インには来ないな……絶対に前に出させやしない。何が何でも、この地位だけは守ってみせる! このまま……!)


ジュンにとって、それはとても邪魔で仕方ない。だが、それを攻略する糸口を、ジュンは見いだした。(どけってんだよ、この野郎ッ!)


フロントのインホイールを、雨用の側溝に突っ込む。相手がブロックに集中してインを攻めきれないことを利用し、そこでサイドバイサイドを狙ったのだ。


「何ぃッ!?」インサイドにフロントをねじ込もうとするジュンに、スペースを空けざるを得ない香取。車を外に流し、ラインをアウトへと素早く変える。


(馬鹿な……速い!? いくらドリフトしてるとは言え、占めたはずのインサイドをこの速さで走るなんてありえない!)


ジュンはインベタの更にインを走る、"溝落とし"を繰り出したのだ。「……チィッ。」香取は軽く舌打ちをし、次のコーナーを見る。


(まだ終わりじゃねえぜ、次の右コーナーが勝負だッ!)サイドバイサイドのまま、右コーナーへ突っ込んでいく2台。


再びインサイドを取った香取は、最短ルートでコーナーを曲がっていく。だが、ジュンもそれに負けない速さを見せる。


リアが外に膨らみながらも、それを必死に抑え、耐えていく。(こんのぉッ……!)


(スペースが足りないだろう。そりゃそうだ、GT-Rで並ぶにゃ、このコーナーは幅が狭すぎる、そのままじゃ看板にぶつかる! 


とはいえ、コッチも中々……!)香取もワンビアのリアが流れ始めて狭まるラインを、切り抜けようとする。


ジュンの願いに反し、どんどん外へ膨らむリアエンド。絶対絶命の状況だった。(ここからはストレート、鼻面をねじ込んだコッチのが有利だ。イケるッ!)


直角コーナー群を脱出し、同時にストレートに出る2台。アンダーステアをギリギリで耐えたジュンは、一気にアクセルを踏み込む。


(来た、ストレート! ストレートの攻略法はただ一つ、RB26の底力を見せつけてやるだけだ。420馬力は伊達じゃねんだよォッ!」ジュンはライン取りで不利なはずながら、一気に加速する。


「なぁッ!?」ワンビアよりも遥かに力強い加速力を見せつけるジュン。どんどんワンビアのフロントよりも前に出ていくR32。


100馬力以上の差を、これでもかと込めて立ち上がり勝負を仕掛けたジュンの思いがついに届き、R32のフロント半分ほど、香取の前に出ることができた。


(クソッ! ……だけど、次のコーナーでどうにかすれば……!?)目の前に、自分の走る事になるアウトサイドにワイヤーのガードレールが。次のコーナーは左。


このままでは自分にとって不利なライン取りを強いられてしまう状況。外に膨らめば、間違いなく転落。最悪の場合は、そのまま落下死もあり得る。


香取は道幅の狭さと甘いガードレールによる恐怖、相手の圧倒的な加速による敗北感。「はぁ……はぁ……ッ!」彼の目が泳ぐ。


だが、無慈悲にもコーナーはすぐにやってくる。


相手が動揺したその隙を突いて、ジュンは左フロントタイヤを再び溝に引っ掛ける。リアを流して前へと滑りながら、左コーナーを曲がっていく。


香取は怖気づいてしまい、アクセルを離してしまった。追い抜かれ、そのまま逃げ切られることを悟った香取は、そのままアクセルを緩めて、下っていくことを決める。


(……これが地元最速。この人は速いだけじゃない、駆け引きが上手い。完全に負けた……悔しいよ、ホント。)


その時、自分で言った言葉が脳裏に浮かぶ。"走るからこそ分かること、走らなければ分からないこと"。


(結局、相手が一枚上手だったかぁ……悔しいけど、嬉しい気持ちもある……何が"走らなければ分からないこと"だよ。負けたことしかわかってないじゃんか、俺……。)


そう1人で落ち込みながらも、香取は車を走らせていく。「あぁ、喉渇いたな……。」

愛車紹介第3弾。

新庄元也のランエボⅨ。

カラーはスコーティアホワイト。

C-WEST社製フルエアロに加えて

純正形状のカーボンボンネットも装着。

APR製のGTウイングも装着。

最高出力390馬力の峠専用マシンです。

所々、アクセントとして青が使われてます

(キャリパーとかロールケージとか)。

とてもかっこいいです(小並感)。

以上、あるとでした。

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