表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身代わり花嫁の忌み子Ω、冷酷な暴君皇帝に番として溺愛される〜虫けらの俺が国を救う唯一の光らしい〜  作者: 水凪しおん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/24

番外編 第2話「黒鋼将軍の、忘れられない贈り物」

 北壁の砦を救った戦いから一年。

 帝都にある将軍府に、一人の男が訪れていた。

 黒鋼将軍だ。

 彼はかつて、玲玉の力を疑い、無礼な言葉を投げかけたことを今でも深く悔いていた。


「……将軍、お加減はいかがですか」


 皇后宮の庭園で、玲玉は黒鋼を温かく迎えた。

 黒鋼は鎧を脱ぎ、礼服に身を包んでいたが、その立ち姿からは戦人特有の鋭さが消え、どこか穏やかな雰囲気が漂っていた。


「皇后陛下におかれましては、お変わりなく。……本日は、北の民たちから預かった品を届けに参りました」


 黒鋼が差し出したのは、荒野に自生する珍しい薬草で作られた、素朴な匂い袋だった。


「あ……、これは。懐かしい香りがしますね」


 玲玉がそれを受け取ると、黒鋼は照れくさそうに頭をかいた。


「砦の兵たちも、今ではあなたのことを救世主と仰いでおります。あの日の光がなければ、我らは今頃、雪の下で朽ち果てていたでしょう」


 黒鋼は、自分の無骨な手が、玲玉の放つ清らかな気に触れて洗われていくのを感じていた。


「私はただ、自分にできることをしただけです。……でも、皆さんがこうして元気に過ごしていることが、何よりの贈り物ですよ」


 玲玉の言葉には、一片の嘘もなかった。

 そこへ、龍帝が不機嫌そうな顔をして現れた。


「黒鋼、随分と長居をしているようだな」

「へ、陛下! 失礼いたしました! 」


 黒鋼は慌てて姿勢を正した。

 龍帝は玲玉の隣に立ち、その肩を抱き寄せた。


「玲玉に贈り物をしたいのなら、朕を通せと言ったはずだ」

「陛下、そんなに怒らないでください。黒鋼将軍は、わざわざ遠くから来てくださったのですから」


 玲玉がなだめるように龍帝の腕を撫でると、龍帝は不承不承といった様子でため息をついた。


「……まあいい。黒鋼、今夜の宴にはお前も出席せよ。お前の守る北壁の安定は、帝国の礎だ」

「はっ! ありがたき幸せにございます! 」


 黒鋼は龍帝の深い信頼を感じ取り、再び深く頭を下げた。

 玲玉は、龍帝と黒鋼の間に流れる、男同士の奇妙な友情のような絆を見て、密かに微笑んだ。

 かつては「力」だけで繋がっていた主従が、今は「信頼」と「守るべきもの」によって結ばれている。

 それもまた、玲玉がこの国にもたらした、静かな変革の一つだった。

 夕暮れ時、庭園には笑い声が響き、帝国の未来を明るく照らしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ