あやかし達の技術
合同訓練はかなり盛況となる。
あやかし達の剣技や技術を間近で見れる。
更には音寧による指導や助言はかなり的確であり
陰陽師達の心構えが変わっていく。
合同訓練の様子を見てきて欲しいと依頼された
ポチノはその様子を見て、かなり興奮していた。
「宝龍様、人間の成長は凄いですね」
この短期間で色々な成長をしている人間達を見ながら
彼女は人間の成長に歓喜していた。
「では、行きますよ、総一郎殿」
「はい、見せてください、ハク殿の剣技」
総一郎とハクがその剣技を見せ合う様を見る。
ハクの抜刀術は非常に優れている。
「ふん!」
「む! さ、流石の速さだ!」
今回は木刀である為、本気の抜刀術では無いが
その一撃はあまりに素早い。
だが、総一郎はその抜刀術に反応して防いだ。
人間でありながら、あやかしの一撃を
余力を持って防いだのだから、実力の高さが伺える。
「流石ですわね、総一郎殿。
私の居合を防いで見せるとは」
「ありがとうございます。しかし、全力では無い。
あなたの一撃を受けて、そう感じました」
「ふふ、流石です。その通り、全力ではありません。
私、本気の居合を見せるには鞘が必要なのです」
「何故鞘が必要なのですか?」
「居合は錫音様に教わったのですが
錫音様には、単純な居合の他には妖力を応用した
特別な居合を教えてくださりましたわ。
私が得意なのはその特別な居合ですわね」
「その特別な居合に鞘が必要なのですね」
「その通りですわ」
「特別な居合を見せてもらっても?」
「構いませんわ、流石に人には出来ませんが」
真剣を用いる為、人間相手には使えない。
その為、居合を見せる為に案山子が用意された。
案山子を前にハクは居合の構えを取る。
「行きますわよ」
ハクは合図をすると素早く居合を放つ。
自身が受けた居合よりも遥かに素早く抜刀術を見て
総一郎は非常に興味を惹かれた。
「速い!」
「ふーん、妖力と霊力を使った居合か」
総一郎には原理はわからなかったが
霊力の扱いに長けている清美は原理を理解した。
彼女の視点では、
ハクが鞘に妖力を纏わせたのが見えた。
「流石ですわね」
「妖力と霊力を利用した居合。どう言う事だ?」
「彼女が妖力を鞘に流し込んだのは分かったわ。
ただ、そこから爆発的に抜刀した理由は不明。
でも、抜刀の瞬間、かなりの妖力が鞘から漏れて
刀も妖力がかなり纏ってたわね。
ただ、刀には少しだけ霊力が見えたわ」
「はい、この抜刀術は妖力を用いていますわ。
妖力を刀の鞘に集中させて、
ゆっくりと鞘の中を満たす。
そして、抜刀の瞬間に僅かな霊力を
刀に纏わせて妖力を増強させての抜刀。
私は霊力は無いので、刀の霊力を利用しました。
なので、錫音様の抜刀とは違うので
錫音様の足元にも及びませんわ」
「霊具神姫の玉やどりを用いてるから出来ると。
でも、それだと刀の霊力なくなるんじゃない?」
「反発させての抜刀なので、霊力は減りませんわ。
それが理由で、
錫音様の抜刀には到底敵わないのですが」
錫音派閥のあやかし達が扱う技術は
完全に錫音の下位互換でしか無い。
錫音派閥のあやかし達の強さを知れば知る程に
錫音の強さが底知れないと感じて行く。
「つまり、半妖ならより近い形で再現出来ると」
「そうですわね、半妖ならば霊力と妖力を
完璧に制御すれば可能ですわ。
しかし、私は霊力を持ちませんので」
「あなた達は霊力を持たないと。
でも、あんたからは若干霊力感じるんだけど?
いや、鍛えてない人間以下なのは間違いないけど」
「あ、うん、確かに私には本当に少しだけだけど
錫音様の霊力があるよ、鍛えてない人間以下の。
凄いね、錫音様でも飢餓状態じゃないと感知出来ないくらいに微弱なのに」
錫音派閥のあやかしでも、本邸のあやかしには
本当に極僅かな霊力が宿っている。
それこそ、妖怪でも感知出来ない程に微弱な霊力が。
それを清美は感知した。感知能力に関しては
錫音以上と言えるかもしれない。
「凄いですね、清美さん、霊力の感知を
ここまで出来るとは、凄い才能ですね」
「そんなに凄いことなのかしら」
普段から分かってる事を褒められてもと
少しだけ感じてしまった。
清美からすれば普通の事であるからだ。
だが、ここまで霊力の感知が出来るのは
見事と言う他ない。
「霊力の感知とやらは出来るのに
式神を作ると霊力が減るのは分からなかったのか?」
「他者の霊力を感じられる技術と
自身の霊力を完全に把握するのは違うわよ!
自分の霊力がどれくらいか何て
何と無くでしか分からないっての!
数字が見えてるわけじゃないんだから!」
「まあまあ、私達が交流出来たことで
分かったのですから良いじゃないですか。
清美さんの才能は本物です。
アキエの霊力を感知出来るほどなのですから。
このまま鍛えて行けば、
きっと錫音様にも届きます」
所詮はおだてだと清美は受け取る。
今の自分では錫音にはとても敵わないというのは
今回の訓練でより痛感したからだ。
「きっと皆様は歴代最高の世代となるでしょう。
これからも、共に人々を守って行きましょう。
その為にも、今は訓練。
折角、交流の機会が出来たのですから」
「はい、色々と教えてください」
その後も合同訓練は続いた。
あやかし達の技術を人間達が学ぶ事で
大きな進化を促す事が出来たと言えるだろう。




