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手をひかれて連れて行かれたのは、大きな部屋だった。
衣装部屋という名前の通り、洋服で溢れかえっている。
…この部屋だけでうちのリビング二部屋分ぐらいあるんじゃないかな…?
その中心にいるのは一人の女性。
私たちが入ってきたのにも気づかないでせっせと服を漁っている。
「お母さま、」と美紀ちゃんが話しかけると、その女性はくるりと振り向いた。
ぱちり、と目が合う。
…蛇に睨まれた蛙って、こんな気分なんだろうか。
何故かじーっと見つめられる。
正直、恐ろしい。かといって、その剣幕におされて目をそらすのも無理。え?私、何か悪いことしましたか…?
「お母さま、こちら、玲奈ちゃんです。玲奈ちゃん、これが私のお母さまだよ。」
明らかに場違いな美紀ちゃんの言葉が部屋に響く。
いやいや、そこは空気読もうよ、美紀ちゃん…!
でも、やっぱりこちらから挨拶したほうがいいんだよね…?
そう思い直して、恐る恐る声をかけてみる。
「あの、初めまして。私、たかく…」
「まあまあ、貴女が玲奈ちゃんなのね!?想像以上に可愛い子じゃない!美紀、GJよ!」
勇気をふりしぼった私の言葉は、そんな女性の興奮した声にかきけされた。
続いて、何か影が被さってきたと思った瞬間、私の頭に何か柔らかいものがぶつかってきた。視界が暗い。
「…ふぇっっ!?」
やばい。ふわふわしてて気持ちいい。
――じゃなくて、
「いやー、可愛いー♡ちっちゃーい♪」
え、なんで美紀ちゃんのお母さんに抱きしめられてるの!?
しかも結構苦しい…!
「ちょ、と、とりふあふぇずふぁふぁひてふだふぁひ(とりあえず離してください)~!」
「暴れないのー!あーもう、やっぱり可愛い~♡」
「ふぇやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
こんなやり取りが、美紀ちゃんが止めてくれるまで延々と繰り返された。
…正直、想定外でした。
キャラ濃すぎでしょ!?何で本編にあんまり出てこなかったのこの人!?
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さて、気をとり直して。
「初めまして。私、美紀ちゃんと仲良くさせてもらってます、高倉玲奈です」
姿勢を正して、きっちりお辞儀をする。髪は乱れてて、服もヨレヨレだから、全然しまってないけど。
元凶は目の前にいるこの人だから、それくらいは見逃してほしい。
「初めまして、玲奈ちゃん。話にはいつも聞いているわ。美紀と仲良くしてくれてありがとう。それに、今日は私のわがままをきいてもらってごめんなさいね」
先程の様子から一転、完璧な淑女のように挨拶を返してくれるのは、美紀ちゃんのお母さんである月子さん。
きれいな黒髪ストレートの和風美人で、美紀ちゃんを大人にしたバージョンってかんじ。
遺伝子、いい仕事したね!
「まぁ、そんな堅苦しい挨拶はこの辺にして、早速試着してみてほしいんだけど!」
まずはこれね、と言って手渡されたのは、一枚のワンピース。
美紀ちゃんにも色ちがいのものがわたされる。
「さぁさぁ、着てほしいのはいっぱいあるんだから、早くしないと日が暮れちゃうわよぉ!」
これもこれも、と次々に沢山の服を指差す月子さん。
…え?軽く50はありそうなんだけど…?
隣を見ると、美紀ちゃんがまたか、 みたいなふうに溜め息をついていた。
気のせいか、諦めの色が顔に浮かんでいる。
「ほらほら、はやくはやくー!」
テンションの高い月子さんにせかされて、慌てて着替えだす私たち。
その後、執事の林さんが止めにくるまでおよそ2時間30分、私たちは月子さんの着せ替え人形と化したのだった。
美紀ちゃんのお母さんのキャラは、熱を出してるときに勢いで書いたものです。
ほんとはおしとやかな予定だったのに…!
お読みくださり、ありがとうございます。




