16
上木と約束した時間の5分前。
私は、いつものめがねをとって、コンタクト姿で待っていた。
そんな面倒なことをした理由は簡単。
約束したときに、私の最寄り駅前だということを深く考えなかったこと。そして、知り合いに見られたら面倒なことになりそうだ、と思いいたったからだ。
実際、こういうカフェって意外と知り合いがいるんだよねー。
なんて思って周りの人を見ていたら、ちょうど彼が店に入ってきた。
少し店内を見て私に気づいたみたいで、すぐに歩いてくる。
……うん、わかってはいたんだけど、やっぱり何人かの女子が振り向いて、あからさまに彼のことを見てるんだよねー…。
あぁ、この空気つらい…。帰りたい…。
「おい、せっかくここまで来てやったのにそんな露骨に嫌そうな表情してんじゃねえよ。」
そう声がしたので上を向くと、上木がため息をついていた。
「いや、だって目立ちたくないじゃない、当たり前でしょ。」
「せめて顔にはだすなよ。」
などと言って彼は私の目の前に座り、やってきた店員にホットコーヒーを注文して、改めて向かい合う。
……………………………………
え、なに?この沈黙?
あっちはずっと微笑んでるままだし、周りの女の人たちはみんなこっち見てくるし……。
い、居づらい…。
と縮こまっていると、彼の頼んだコーヒーがきた。
ちなみに、私の目の前にはすでに半分程度になったココアが置かれてある。
「ねぇ、」と私が口を開きかけたところで、
「それで、今日はどうする?何の映画見に行くんだ?」と意味のわからないことを言ってきた。
「……はい?」
「はい?じゃないだろ。
今日は映画館行くって言ってたじゃないか。」
……話についていけない…!
「まあ、何を見るかは歩きながら決めるか。」
と言ってさっさとコーヒーを飲んでしまう。
「ほら、行くぞ。」
「え、あっ、ちょっと待ってよ。」と私も慌ててココアを飲み干して立ち上がる。
そのまま、よくわからないで店を出てしまった。ちなみに、会計はあっちが払ってくれた。
こういう所は、原作通りなんだよなぁ…。
「それで、どこ行くの?」と改めて聞いてみる。
「決まってんだろ?二人で話を出来る場所だよ。さすがに、あんなひとごみの中で少女漫画だ、転生だ、とかの話をしてたら誰かに聞かれるだろ。」と当然のように言われた。
…その発想はなかった…。
「…お前、まさかあの中で堂々と話すつもりだったのか…?」と呆れ顔で言われた。
「そ、それよりも、どこで話すの?」と聞くと、彼はため息をついたあと、
「取り敢えず、ついてこい。」とだけ言って歩き出した。
お読みくださりありがとうございます(*^^*)
あんまり話が進んでなくてすみません…!




