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「よっ」

と、驚きの余り硬直する私に、彼―――上木 陸は軽く手をあげながら話しかけてきた。

「なぁ、お前、転生者だろ。」と。

はっと目を丸くして再度驚く私に、彼はニヤリと笑った。




「どれだけ探したと思ってるんだ、まったく。ちゃんと二人で話せるこんなチャンス、逃したくはないだろ。」

とくどくど言う彼に、少しいらっとくるが、ほんとのことなので反論はできない。


「まぁ、それは置いといて、取り敢えず改めて自己紹介でもしない?」

と説教が終わりそうなタイミングを見計らって言う。


「あぁ、そうだな。」

と一言呟いて、彼は話し始めた。





彼、上木 陸は前世では俳優だったらしい。


そこそこ人気だったようだ(自己申告)。


本当かなー?とか疑ってたら、

「……疑ってるようだが、本当だからな?」

と言われた。

取り敢えず、人の心を勝手に読むのはやめてほしい。

妖怪か何かだろうか。

よし、妖怪『ココロノゾキ』と名付けよう!

…とか思ってたらまた睨まれた。

顔の造形が整ってるぶん、余計に怖い…。


こほん、と咳をして話を戻す。


前世の彼は28歳に事故で亡くなったらしい。

トラックに突っ込まれたとか。

「意外と痛みもなかったぞ」などと笑っていうが、その言葉だけは絶対に信用しないでおこう、と決めた。



お互いに知ってることは一通り話して、最も確認すべきことを聞いてみる。


「ねぇ、そっちは気づいてる…よね?

ここが、少女漫画の世界だってこと。」


「あぁ、むしろ、気づかないほうがおかしいだろ、こんなの。」

と鼻で笑われたので、


「でも、男子が『君とともに』なんてすっっっごい乙女な漫画、よく知ってたね?」

と嫌みで返すと、


「……姉ちゃんに無理やり読まされたんだよ。感想を言い合ったりしたいからって…。」

と苦々しげに答える。


どうやら前世で姉による恐怖政治が行われていたらしい。

意外な弱みを発見したなぁ、などと考えてる私に、彼は不機嫌そうに、


「それより、そろそろ行かないとあの二人がいっちまうぞ。

今後のことについては、また今度な。」

と言って歩いていってしまった。


あっ!結局、彼がどういう意図なのか聞くのを忘れていた…。

…仕方ないか。


私は、もう一度だけ二人を振り返ったあと、彼のあとをおっていった。

お読みいただきありがとうございます…!

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