13
「よっ」
と、驚きの余り硬直する私に、彼―――上木 陸は軽く手をあげながら話しかけてきた。
「なぁ、お前、転生者だろ。」と。
はっと目を丸くして再度驚く私に、彼はニヤリと笑った。
「どれだけ探したと思ってるんだ、まったく。ちゃんと二人で話せるこんなチャンス、逃したくはないだろ。」
とくどくど言う彼に、少しいらっとくるが、ほんとのことなので反論はできない。
「まぁ、それは置いといて、取り敢えず改めて自己紹介でもしない?」
と説教が終わりそうなタイミングを見計らって言う。
「あぁ、そうだな。」
と一言呟いて、彼は話し始めた。
彼、上木 陸は前世では俳優だったらしい。
そこそこ人気だったようだ(自己申告)。
本当かなー?とか疑ってたら、
「……疑ってるようだが、本当だからな?」
と言われた。
取り敢えず、人の心を勝手に読むのはやめてほしい。
妖怪か何かだろうか。
よし、妖怪『ココロノゾキ』と名付けよう!
…とか思ってたらまた睨まれた。
顔の造形が整ってるぶん、余計に怖い…。
こほん、と咳をして話を戻す。
前世の彼は28歳に事故で亡くなったらしい。
トラックに突っ込まれたとか。
「意外と痛みもなかったぞ」などと笑っていうが、その言葉だけは絶対に信用しないでおこう、と決めた。
お互いに知ってることは一通り話して、最も確認すべきことを聞いてみる。
「ねぇ、そっちは気づいてる…よね?
ここが、少女漫画の世界だってこと。」
「あぁ、むしろ、気づかないほうがおかしいだろ、こんなの。」
と鼻で笑われたので、
「でも、男子が『君とともに』なんてすっっっごい乙女な漫画、よく知ってたね?」
と嫌みで返すと、
「……姉ちゃんに無理やり読まされたんだよ。感想を言い合ったりしたいからって…。」
と苦々しげに答える。
どうやら前世で姉による恐怖政治が行われていたらしい。
意外な弱みを発見したなぁ、などと考えてる私に、彼は不機嫌そうに、
「それより、そろそろ行かないとあの二人がいっちまうぞ。
今後のことについては、また今度な。」
と言って歩いていってしまった。
あっ!結局、彼がどういう意図なのか聞くのを忘れていた…。
…仕方ないか。
私は、もう一度だけ二人を振り返ったあと、彼のあとをおっていった。
お読みいただきありがとうございます…!




