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500兆円事件〜時効まで、あと10年〜  作者: 近衛あみ


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9/10

ヒ素!?

【時効まで残り8年6ヶ月】

2月14日、バレンタインの日に限って期末テストがあった。

「美弥〜チョコレート欲しいよー。」

「スーパーに行けば。山ほどあるよ。」

「いやいや、美弥の手作りチョコが欲しいんだよ。」

「あんた、その手に山ほどもらったチョコがあるんだから、十分でしょ。」

奏太は優香を含めたたくさんの女子からチョコレートをもらっていた。

しかし、奏太よりも少し多くチョコレートをもらっている男子がいた。

金白学園中学から上がってきた杉本那由太だ。杉本はイケメンで女子からモテ、毎回テストで学年一位を取っているエリートだ。

女子からモテるという点で、奏太に恨まれている。

そんな杉本は、テストが始まる前までに20人くらいの女子からもらったチョコレートを全部食べた。

「それではテストを初めてください。」

赤坂の声と同時に一斉に生徒がペンを握った。

最初は美弥の得意な数学だった。テスト勉強を真面目にやったかいがあり、かなり早く解けた。数学のテストが終わる10分前、廊下から苦しそうな声が聞こえた。

「うっ‥助け‥」

そして、バタンという音も聞こえてきた。赤坂先生が急いで廊下に出ると、

「杉本!?大丈夫か!?」

美弥たちには見えなかったが、杉本が意識を失って倒れていたらしい。

すぐに救急車を呼んだ。

まもなく数学のテストが終わり、次の国語のテストは予定より大幅に遅れることになった。

「杉本くん、大丈夫かな?」

「彼が倒れるのは初めてだよ。」

「もしかして、毒を食わされたのか!?」

「確かに、たくさんの女の子からチョコレートをもらっていたから、その中の誰かが毒を仕込んだ可能性があるね。」

「よし、探偵チーム【光】がこの難事件を解決しよう!」

「ちょっと待って、それは500兆円事件専用じゃないの!?」

美弥がそう言った。

「事件全般を専門としているぜ!」

(まだ時間あるから、勉強したかったのに‥さっさと解決させよう。)

救急車が来る前に、探偵チームの4人で保健室の先生に事情を聞きに行った。

「杉本は、持病は持っていましたか?アレルギーとか。」

「持っていないよ。」

「昨日までの様子はどうでした?」

「今日の朝まで元気だった。テスト中に急に吐き気を催して、それからめまいや動悸もしたらしい。」

美弥は黙って教室の自分の席に戻り、パソコンを開いた。

何かに気づいた。吐き気、めまい、動悸。ヒ素を摂取した症状に似ている。

この学校の女子で毒の購入履歴が無いかを調べた。AIを使って急いで調べたが、毒の購入履歴や殺害計画などは見つからなかった。

ヒ素はそう簡単には手に入らない。

もし本当にヒ素なら――

この学校のどこかに、あの日チェリーを殺した人物がいるのかもしれない。

先生たちが一応警察を呼んでいたらしく、湯瀬刑事が到着した。

「なんで、湯瀬ちゃん1人しか来ないの?」

「大勢の警官が500兆円事件の捜査に行ってしまって、僕1人しか来れなかったんだ。」

美弥は複雑な気持ちになった。

「とりあえず、状況を最初から教えてもらえる?」

優香が状況を話し終えると、湯瀬は少し考えてから

「確かに、チョコレートに何か入っていた可能性があるね。例えば‥ヒ素とか?」

(さすが警察だ!症状を聞いただけで推測ができるなんて!)

「杉本くんにチョコレートを渡した女子を全員ここへ連れて来て。」

4人で他クラスを回り、チョコレートを渡した23人の女子を連れてきた。

「毒なんか入れていません!」

「私は彼が好きだったんですから、殺す訳ないですよ!」

皆、否定をしていた。

「あなた、いつもテストで学年2位だったよね?杉本くんがいなくなると、あなたが学年1位になる。」

「私じゃありませんよ!確かに、1位の杉本を少し恨んではいたけど、だからといって殺したりなんかしません!」

美弥はCherryを殺した犯人がいることを期待して、真面目に捜査に協力していた。

国語のテストが始まらないまま、16時を過ぎていた。捜査は今日は打ち切りになり、全員家に帰った。


その頃、第二の家で風見が大きなチョコレートケーキを作っていた。

「ハッピーバレンタイン!」

「このチョコレートケーキは食べていいんですか?」

「もちろん!五十嵐と美弥に作ったんだけど、五十嵐が高熱を出しちゃって食欲がないみたい。」

「じゃあ、私が全部食べていいんですね。」

風見の返事を聞かずに、フォークをケーキに入れていた。今日は頭を使ったので、甘いものがたくさん食べたかった。この大きなケーキも今日は1人で食べきれそうだった。

「美弥、それは危険だよ!」

「大丈夫ですよ、五十嵐さんが怒ったとしたら、市販のケーキを買ってきてあげますから。」

「そーゆー意味の危険じゃないの!一気にチョコレートを食べたら、倒れちゃうかもしれないよ!」

「毒なんて入ってないんですから、倒れませんよ。」

美弥は食べ進みながら喋っていた。

「知らないの?チョコレートに入っているカフェインを一気に大量に摂取すると、動悸やめまいがしたり、倒れてしまうんだよ!」

「えぇ!?」

美弥はフォークを止めた。そして、今日の出来事を全て話した。

「それは、おそらくカフェインが原因だよ。23人からもらったチョコレートを一気に全部食べたなら、倒れるのも仕方ない。」

次の日、湯瀬刑事にそのことを話してみた。そして、病院にもそれが伝わり調べると、やはりカフェインの大量摂取が原因だったらしい。幸い、杉本の命に別状はなかったらしい。

またもや風見の活躍だ。

その次の日、美弥は奏太に

「これ、あげる。」

「やったー!美弥からのバレンタインさいこー!」

中身を見ると、マシュマロだった。嫌いというマシュマロの意味を知らずに奏太は喜んでいた‥

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