昨日の敵は今日の友
遡ること10月20日。五十嵐と風見のいる第二の家で作業をしようとした。2人には事情を話した。そしてうっかり専用ケーブルを机の上に置きっぱなしにしてしまった。すると、その専用ケーブルを五十嵐が誤って落としてしまい、軽く踏んづけてしまった。
「このケーブルって美弥の?」
「そうですよ!壊したらどうしてくれるんですか!これは今から犯人のスマホをハッキングするために使おうとしていましたんですよ!」
「犯人って、あの模倣犯?」
「そうです。私は犯人を警戒しています。だから、このもらったケーブルにコンピュータウイルスを入れておいて、犯人が接続したら私にそのスマホの情報が行くようにしようとしたんです。犯人の目的がまだ分かっていないから。」
「全く壊れてなさそう!」
風見がそう言う。
「なるほど。美弥は模倣犯を警戒しているんだね。でも、模倣犯が美弥のことを警戒していることは予想している?」
「してないけど‥」
「模倣犯も同じ人間なんだから、美弥のことを裏切らないかとか警戒しているんじゃないか?」
美弥はハッとした。
五十嵐に続けて風見が言った。
「てか、受け取った専用ケーブル怪しくない?美弥が自分のケーブルを大量に持っていることくらい相手は知っているんじゃない?つまり、その専用ケーブルで美弥のスマホをハッキングしようとしていた可能性があると思うよ。」
「確かにそうだ‥私がそのことを見落としていたなんて。」
「それと、500兆円事件の後にハッカーの警戒はかなり高まって警備が厳しくなったから、さすがの美弥でも次は国のシステムに侵入したら足跡が少しは残ると思うよ。」
美弥はこの時冷静さを失っていた。
「俺らに考えがある。その専用ケーブルには美弥の偽情報を入れたスマホに接続しよう。そして、返すときに似たケーブルに国の偽情報を入れて返し、美弥が相手のスマホをハッキングできるようにしよう。」
「犯人はおそらく何かの脅迫の材料にするために国民の情報が欲しいんだと思うから、警備が厳しいという理由でシステムに入らなかった代わりに偽の国民情報を入れたと模倣犯には正直に言うべきよ。」
出会ったときとは立場が逆転し、焦っている美弥を2人が落ち着かせていた。
「それと、美弥は学業に専念して欲しいから、1000兆円送金専用アプリと1億2000万人分の偽情報の作成は俺らでやっておくよ。AIを使えばそんなに時間かからないからさ!」
美弥は言われた通りにした。犯人が偽のケーブルを接続すると、犯人の目的が分かった。
10月27日午後3時45分、隕石墜落の警報を流し、地下に避難するように誘導する。
午後4時30分、銃を持った人間達で地下で大勢の人質がいる中で立てこもる。
午後5時00分、【悪霧】のボスの釈放を求める。
要求に応じなければ、容赦なく殺すこと。
第二の手段として、国民の情報を人質にすること。
1000兆円脅迫に気を取られて、国は冷静になれないはずだ。
という事が。
ちなみに、やはり、受け取った専用ケーブルは美弥のスマホをハッキングするためのものだった。
美弥は模倣犯に自分が中1の時に初めて作ったホワイトハッカー排除AIを送った。
「一応、頑張って作ったものです。」
そして、風見が犯行の10月27日の朝に、犯人がボタンを押すと全スマホに隕石墜落警報が流れるのではなく、模倣犯の犯行計画が表示されるようにプログラムしておいた。
こうして、五十嵐と風見の活躍により、国民の命は救われた。




