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500兆円事件〜時効まで、あと10年〜  作者: 名無し


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18/30

希望

【時効まで、あと6年】


五十嵐と風見が逮捕されてから、美弥はかなり複雑な気持ちになった。

逮捕され、そして世間からは2人への非難の声が殺到。

罪のない2人がなぜ罰せられないといけないのか。


それは、罪のないチェリーを失ったときの気持ちに近かった。


2人と初めて出会ったときは敵かと思っていたけど、敵ではなかったと知った日のこと。

2人のおかげで模倣犯に騙されずに済んだこと。思い出の記憶が一気に溢れ出た。


ーー数日後、美弥がしばらく存在を忘れていた探偵チーム光の活動が再開したらしい。

奏太から家から引っ張り出されて、湯瀬刑事に情報を聞きに行った。

ちなみに、この日恵都は新型コロナウイルスにかかってお休み。


「湯瀬刑事、事件の進展はありましたか?」


「ない。ゲホッゲホッ」


「湯瀬ちゃん大丈夫?風邪?」


「実はアイネミアウイルスにかかって、昨日退院したばかりなんだ。」


「それは大変でしたね。」


美弥も同情した。


「ああ。気をつけていたんだけど、数週間前に例の指名手配犯の五十嵐と風見が病の中自首をしに来て、長時間話を聞いていた。」


「えぇ!?」


3人は声がそろった。


「その2人、何と言ってました?」


奏太と優香もいろいろ湯瀬に聞きたいことがあるようだが、美弥は1番に質問した。


「五十嵐は必死だった。逃亡していたことは深く反省していて、そして風見のことを庇っていた。風見が襲われていたから、自分が刺し殺した。だから、風見は関係ないと。」


「そんな‥」


「でも、僕は思うんだ。」


鼻声で湯瀬は言った。


「ーー2人は強盗殺人ではない。」


「え!?」


優香と奏太は異議を唱えた。


「いいや、そんなわけがない。あの2人は俺たちを襲ってきたんですよ。」


「本当に2人が襲ってきたのかい?」


「そうですよ!」


奏太は堂々と嘘をついた。


「僕は分かるんだ。大切な人を守るために、自分が悪人になってしまうことを。自分がそれを経験していなくても、長年警官をやっていると、分かるんだ。」


美弥は希望の光が見えたように思えた。

あの2人の担当取り調べ捜査官も、それを分かってくれたみたいだ。


ーー「すみません。刑事さん、ちょっといいですか?」


その時、1人の女性が訪ねてきた。


「最近捕まった、五十嵐そらと風見日向の事件についてお話ししたくて。」


「分かりました。悪いけど、優香ちゃん達、また今度来て。」


「分かったよ。」


優香と奏太はまだ聞きたいことがたくさんあったようだ。

次の日の夜、美弥は急上昇中のネットニュースを開いた。


【独自】

強盗殺人事件で新たな証言 逮捕された2人の知人女性が交番へ 

「風見容疑者を襲おうとした男を五十嵐容疑者が刺した」

先日、強盗殺人の容疑で逮捕された五十嵐そら容疑者(24)と風見日向容疑者(24)をめぐり、新たな証言が明らかになりました。

事件を目撃したという2人の知人の女性が都内の交番を訪れ、事件に関する重要な証言をしたということです。

女性の証言によりますと、事件当時、風見容疑者にストーカー行為をしていた男が酒に酔った状態で現れ、風見容疑者の首を締めようとしたといいます。

その際、五十嵐容疑者が男を刺し、その結果、男が死亡したということです。


女性はこれまで、事件について知っていたものの、「怖くて申し出ることができなかった」と話しているということです。


そして今回、意を決して警察に証言することを決めた一方、これまで届け出なかったことについて「もっと早く申し出るべきだった」と後悔しているとしています。

警察は女性の証言について慎重に確認を進めるとともに、事件の詳しい経緯を調べています。


美弥は安堵した。

自分も早く弁護士になって、苦しんでいる犯罪者達を救いたいと思った。


(そういえば、湯瀬刑事も2人のことを信じていた。大切な人のために殺人をする気持ちを分かっていた。奥さんを殺されたことと関係しているのか‥?そうだとしたら、湯瀬自信が何かを守るために奥さんを殺した?いいや。そんな訳がないか。)


スマホを閉じて美弥は眠りについた。

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