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500兆円事件〜時効まで、あと10年〜  作者: 名無し


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奪われたものは何

【時効まで、あと6年】


ついに、美弥は金白学園高校を卒業して大学生になった。

金白学園大学法学部に進学した。


殺人を絶対に許してはいけないという強い気持ちから、美弥は裁判官を目指していた。


以前は動物の命は人間の命よりも大事と思っていたが、今は殺人も同様に許さない。

犯罪者である複雑な気持ちを背負いつつ、最短で司法試験に合格するよう努力しようとした。


優香、恵都は金白学園大学医学部へ、奏太は理工学部へ進学した。


ちなみに、奏太は美弥と離れたくなかったため、法学部に入りたかったらしいが、英語が壊滅的にできない奏太は赤坂からはっきりお前は理系だと言われたので仕方なく進んだ道だ。

(Averageを「あぶらあげ」と読むような実力だ。)


大学生になりアルバイトをしている人がほとんどの中、美弥はアルバイトをせずに勉強に励んでいた。


「美弥ちゃん、一緒に遊園地でアルバイトしない」


「いや‥私は接客業苦手だから」


(お金が有り余っているからバイトしないなんて口が避けても言えない‥)


優香は大人気遊園地でアルバイトを始めたらしい。


5月になり大学生活に慣れてきた頃、優香と2人でカフェで勉強しに行く途中に湯瀬刑事とばったり会った。


「湯瀬ちゃん久しぶり!」


「あぁ、優香ちゃんと美弥ちゃん久しぶりだね」


「ねぇ!湯瀬ちゃんも一緒にカフェ行かない?」


「おっ!暇だし行こうかな。」


(勉強しに行くんじゃないのか‥絶対湯瀬刑事と雑談ばかりになる。)


案の定優香は勉強道具を一切出さずに湯瀬刑事と喋っていた。

美弥はそれに構わず参考書と向き合っていたが、とある会話が耳に入った。


「そういえば、湯瀬ちゃんって結婚してるの?」


「妻とは8年前に死別したんだ。今は独身。」


「そうだったんですね。」


「そうそう、今日は妻の誕生日でね、生きてたら僕と同じ31になっていた。」


「奥さんの名前ってなんだったんですか?」


「千夏だよ。これが千夏との結婚式の写真。」


美弥も気になって見てみた。


「この人って‥もしかして、旧姓は赤坂!?」


「そうだよ。知り合いだったのかい?」


「高校の担任の先生のお姉さんなの!ヒ素で毒殺されてしまったんでしょ‥」


「その通りだ‥」


優香から言われて思い出したが、赤坂先生は生徒に亡くなった姉の写真を見せていた。

ヒ素に関する事件のため、美弥は勉強を中断して話に割って入った。


「犯人ってまだ捕まっていませんよね。私も同じ時期に猫をヒ素で殺されたんです。そのときのことを教えてください。」


「ごめん。千夏が死んだときはパニックになって、そのときのことをよく覚えていないんだ。」


「そうですか‥今からでも情報を集めて、一緒に犯人を見つけませんか。」


「無理だ。」


湯瀬は今まで見せなかったような不機嫌な顔をした。


「証拠もないし、もう無理なんだよ。」


「でも、技術は進歩してきています。」


「そんなしょうもない事件より、俺は500兆円事件の犯人逮捕に力を尽くす。」


「窃盗よりも殺人の方が比べものにならないくらい罪が重いですよ。」


「死んだ人はもう絶対に帰ってこない。だがしかし、奪われた金はこの世には絶対に残っている。」


(湯瀬さんは、きっと奥さんを失ったショックを思い出しておかしくなっているんだ。)


美弥はこれ以上は言い返さなかった。

さらに、500兆円事件への異常な執着心が感じられた。湯瀬はあのとき、一円も送金していない。


ーー何も奪われていないのに、目の敵のように言っている。


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