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500兆円事件〜時効まで、あと10年〜  作者: 近衛あみ


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そういうことか!

【時効まで、あと6年半】

美弥は五十嵐の祖母の言葉が頭から離れない。

(奏太は、私の正体を知っているのか‥?)

普段は人を疑う美弥だが、今回ばかりは半分信じてしまっていた。

(奏太は裏表のないただのアホだと思うけど‥)

今の段階で何か決断をすることはできないので、とりあえず様子を見ることにした。

「おはよう。」

「あぁ、美弥おはよう。」

奏太は少し違和感がある返事をした。

美弥は赤坂先生にこのことを話すと、赤坂も奏太の様子に不信感を覚えたらしい。

授業中も奏太は美弥のことを少し怖い目で見ていたらしい。

優香と恵都の様子には変わりはないが、奏太は今日に限っては美弥に話しかけてこなかった。

帰りのホームルームが終わると、美弥は家のパソコンでアクセス履歴を見たかったので急いで帰ろうとした。

金白学園高校の最寄駅に向かってかなり早歩きをした。

「ん‥‥?」

狭くて細い道で後ろから早い足音がした。歩きながらスマホを取り出し、画面の反射で後ろの顔を確認すると、それは間違いなく奏太だった。

(なんで、アイツが!?普通なら追いついて一緒に帰ろうとしてくるはずなのに。)

理由はわからなかったが、後をつけられていることは確信した。

電車を降りても奏太はまだ後ろにいた。

美弥は最悪な想像をする。

奏太は警察と協力をしていて、このままマンションの鍵を開けた瞬間に私を取り押さえて家の中を捜索するのかと。

でも、まだそうと決まったわけではない。今走った場合、美弥のスピードだと奏太を簡単にまくことができるが、かえって怪しまれる。

そう考えていると、かなり後ろからすさまじい怒鳴り声が聞こえた。これは奏太の声じゃない。

おそるおそる後ろを振り向くと、奏太が大柄な大学生の男たちに胸ぐらを掴まれていた。

「3万円はいつ返すのか?」

「すいません‥。来週に絶対返しますので、どうか、今日は許してください。」

「あ?先週返す約束だっただろうが。約束破るんじゃねぇよこのクソガキ。」

大学生は奏太を突き飛ばした。

「やめろよ。」

美弥は止めに入った。

「誰だお前?」

「私があんたに名乗る義務はない。」

「生意気な女だな。」

そう言った直後に男は美弥にパンチをしようとした。一度はそれをかわし、美弥は男の肩を思い切り蹴ろうとした。しかし、それもかわされてしまい、美弥は逆に突き飛ばされて思い切り壁に左手をぶつけた。さらに、ポケットのスマホにもヒビが入った。

「美弥!?」

奏太は美弥に駆け寄ろうとしたが、男が奏太の腕を掴んで邪魔をした。

「たった3万で駄々こねてるなんてかっこ悪。」

「なんだと?」

美弥は左手を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。

「そんなに金が欲しいなら、あんたにくれてやるよ!」

美弥は10万円の札束をばら撒いた。

「全部拾うぞ!」

男は札束を拾うのに夢中になった。

「行くよ!」

美弥は奏太の手を引いて走り出した。

少し離れた公園にたどり着いた。

「美弥、本当にごめん。俺のせいで。守ることができなかった。」

「別にいいよ。」

奏太は金白学園高校の先輩達にお金を借りて、返していなかったらしい。

「てか、なんで私のことを尾行してたの?」

「それは‥雑誌の占いで、近々獅子座の女性が災難に遭うって書いてあったから、美弥をこっそり護衛して、ヒーローになりたかったんだよ。」

「馬鹿じゃないの!」

反射的にそう口に出た。

(でも、500兆円事件のこととは関係なくて良かった。)

(そうか!奏太が近くにいたから私は左手を怪我した。だから、五十嵐の祖母の占いは実質正しかった訳だ。)


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