93話
「そう言えば滝本君落とし物してたよ」
「…へ?」
「これロッカーの鍵、入れてあるから取って」
「え?」
「本かな?ビニールに入ってたから中見てないけどたぶん本だったと思うから今から取りに行きなよ」
「えっ今から?」
「加賀美君と話してるから行きなよ」
俺にだけわかる角度で行けと合図する前田さん。
「ちょっと取ってくる」
塁と前田さんを残してロッカーに向かう。
渡された鍵番号に書かれている場所を開ける。
「本?」
ビニール袋の中を少し確認する。
「あっコレ貸してくれるって言ってたやつか」
見た目じゃわからないけど表紙に男が2人見えたからなんとなくそうなんじゃないかと思った。
「悪い悪い!」
「滝本君ので合ってたでしょ」
「そうそう友達に借りた漫画本だった」
手にした本を前田さんの前に出す。
「今日手にしてるの見た覚えあったから」
「サンキュー」
「じゃあ」
前田さんはUFOキャッチャーの奥に消えた。
「怪しすぎ」
「…へ?」
「嘘下手すぎ2人とも」
「えっ」
「何でロッカーに忘れ物入れるんだよ、普通カウンターだろ忘れ物だったら」
「…あぁ……」
「いちいち聞かないけど見てたの俺じゃなかったら良くないと思うよこうゆうの」
「……はい」
塁を見ると冷たい顔で俺を見ていた。
「違うからな!」
「なにが?」
「変な関係じゃ…変な関係なのか?違う意味が違うからな!勘違いすんなよ!協力者だから!」
「……何言ってんの」
順を追って説明しないと。
「尚が蓮以外と何かあるとは思ってないけど勘違いする奴はするし恋人の立場なら面白くないだろうし蓮は何も言わず手を引くタイプだと思うから気をつけた方がいいと思うよ」
一緒にいるのが塁でよかった。
「とりあえずオオカミ探すか」
「えっあっうん」
下を向きながら塁の後ろを歩く。
「オオカミあるじゃん」
塁の声に反応して前を向く。
「ラス1!」
何度かチャレンジしてみたら取れた。
「よかったな」
「やっと我が家にっ」
「それ取ったん?」
拓哉の声。
「すごいっしょ!」
「ってか腹空いたから何か食いに行こうって蓮と話してたんだけどもう移動でいい?」
「俺は別に」
「俺も!」
「ってか何食う?」
「あっ俺トイレ行くから入り口で待ってて」
3人を残してトイレに走る。
とりあえず本を鞄に入れないと怪しまれる。
トイレから出て入り口に向かう途中で蓮と会った。
「あれ?トイレ?」
「迎えに来た」
「え?ぷっ俺とそんなに一緒にっ」
「さっきのオオカミ見せて」
「…へ?なんで?」
「拓哉が俺に似てるって言うから」
「なっ!はっ!似てないし!ってか見せません!」
「なんでだよ」
「絶対嫌!」
蓮に似てるオオカミなんか見せれるか!




