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91話

「まさか前田さんに手を出しっ」

「何もしてねぇわ!」



思わず蓮の方を向く。


蓮と目が合う。



「普通熱いフライパン人に当てるか?」

「俺もそこはビックリだけど熱いって言ってもほぼ冷めてたからそこまで熱くはなかったし」

「じゃあっ」

「そんな話どうでもいい」

「よくないだろ!」

「……なぁ…嫉妬してたよな」



目を逸らした蓮。



「俺が前田さんと仲良くしてるように見えた?」

「……………だったら……なんだよ」

「可愛いなって」

「どこがっ」



俺は蓮が愛おしくなって蓮の顔に手を添える。



「蓮………キスしたい…ダメ?」



返事を待つ余裕がなくて勝手に顔を近づける。



「こら」



蓮に顔を両手で挟まれ止められた。



「なんで?」

「先生来たら困るだろ」

「まだ大丈夫」

「そんな事わかんないでしょ」

「わかる」

「キスして我慢できなくなったら?」

「我慢しなきゃいい」

「………ココ保健室だよ」

「俺と…キス…したくない?」



蓮の手を握って自分の唇と蓮の指を触れさせる。



「煽んなって」



俺は我慢なんかしたくない。


せっかく両思いになったのにキスできないの?愛を確かめ合う事もできないの?それなら付き合う前の方がよかったじゃん。


カツカツカツカツ……


たぶん保健医がやって来たのだろう。



「これで我慢してね」



蓮が俺のおでこにキスをした。


小学生じゃあるまいし我慢できるか!



「もぅ知らん!バーカ!」



俺は立ち上がり備品棚の前に移動した。


ガラガラガラ……



「お待たせ!」



保健医に治療してもらい家庭科室に戻る。


蓮は手伝い禁止で傍から見てるだけとなった。



「どうなった?」



前田さんが小声で聞いてきた。


蓮を見ながら保健室での事を思い出す。



「キス拒否られた」

「はっ?なんで!説明しなかったわけ?」

「説明ってかそこはそこまで問題じゃないはず」

「じゃあ何」

「大切にされすぎて手を出されない的な」



呆れた顔で蓮を見る前田さん。


そんな前田さんに気づいた蓮が俺らを交互に見る。



「まさか黒澤君がそのタイプとは」

「タイプとかあんの?」

「野獣みたいに本能のまま相手をひたすら求めるタイプかと思ったけど滝本君がそっちとはね」



前田さんは下を向いて料理の続きをする。


俺は蓮に笑顔を向ける。


調理実習とゆう事でマスクをしているため話をしている事はバレていないはず。



「でもたぶん今までの感じからすると理性をぶち壊したら野獣タイプだとは思うんだよね」

「じゃあぶち壊せばいいじゃん」

「簡単にいかないから困ってんじゃん」

「あっそうだ、本貸してあげる」

「……本?」



思わず前田さんに目を向ける。



「BL本、相手を野獣にさせるようなやつ」

「そんなやつあんの?」

「黒澤君が誤解するから前向いて」

「あああはい」



蓮に視線を戻すと明らかに疑った顔をしている。



「大体のBLは野獣化してめちゃ抱き合うから」

「へぇ」

「明日持って来るから黒澤君いないタイミングで声かけて、あと私が腐女子な事は誰にも秘密にして」

「腐女子?」

「BLとから好きな人の事」

「あぁ、わかった」



よくわからないが強い協力者を得た。

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