76話
「口開けて」
「……へっ?」
「飲む気ないでしょ、早く口開けて」
「大丈夫!飲むから!」
疑った目で俺を見ている蓮。
「飲むから!はい!」
手を蓮に差し出す。
薬飲ませてもらうとか恥ずかしくて無理だから!
手のひらに乗せられた2錠の胃薬?
「本当に腹痛の薬だろうなぁ〜もしか………」
真顔で俺を見ている蓮。
「冗談です」
腹をくくって一気に飲み込んだ。
「やっと飲んだな」
「飲め飲めうるさいんでね」
「心配してやってんのに」
「そりゃどうも」
「ってゆうか思ったより元気じゃん」
蓮と普通に話せて忘れていた。
俺腹痛中だった!
「まぁ!出すもん出したし!」
「ふ〜ん、そっか」
「じゃあそろそろ行きますか!」
「うん」
トイレを出ると塁が近寄ってきた。
「飲んだん?」
俺は頭を上下に動かした。
今にも笑い出しそうな塁、塁を見て笑い出しそうな拓哉、2人を見て不思議そうな顔の蓮。
「もう大丈夫なので気にしないでください」
淡々と喋ってこの場を終わらせた俺。
「あんまり動いても尚しんどいかなって事で拓哉と映画観る話になったから今から行こう」
「映画?何の?」
蓮が食いついた。
蓮は意外と映画とか好きなタイプなんです。
「適当に時間合うやつにしたからわからん」
拓哉が適当に予約したらしい。
映画館に着いてドリンクとポップコーンを買った。
「コレそっちのチケットね」
「そっち?」
蓮が不思議そうにチケットを受け取った。
「空気読んでくれよ蓮さん」
拓哉が蓮の肩を叩く。
「なんか離れた席予約したらしいよ」
塁が俺を見て言った。
「あああああそうなんだ!」
「終わったらココで合流って事で」
拓哉が塁の腕を引いてゲートに向かった。
「じゃあ俺らも行くか」
「はい!」
「ぷっ、なんでそんな返事?」
「うるせぇ!行くぞ!」
蓮の手からチケットを奪い取りゲートに向かう。
「ホール8になります」
店員に言われホール8を目指す。
「あんまり客いないみたいだな」
ホール8に向かっているのは俺らだけだった。
入り口には映画のタイトルが貼られている。
……Manhole of Love…
「ちょっと待って」
「……マンホール………」
言葉を失った蓮。




