74話
「次どこ行く!行きたいとこは!」
気を紛らわすように明るく振る舞う俺。
「俺靴見たいかも」
塁が自分の足元を見ながら言った。
「じゃあ見に行こう!」
無理にでも明るくしていないと泣いてしまう。
蓮が俺を見ない事も俺の名前を呼ばない事も俺に話しかけない事も今は気にしないようにしないと。
靴屋に入って俺は塁と拓哉から離れた。
「何かお探しですか?」
男性店員が俺に話しかけてきた。
「友達の付き添いなので」
「何かありましたらお気軽にお声掛けください」
「はい」
別に興味はないけどなんとなく棚を眺める。
「靴底かなり減ってるから滑りやすくなってたろ、新しいの買ったほうがいんじゃない」
「へふっ!はっあっそっ!そうだっけ!」
後から蓮の声。
急に話しかけられて心臓が止まるかと思った!!
「そんなにビックリするかね」
「居ると思わなかったから」
「2人きりにした方がいいかなって」
「……だな」
俺と2人きりになりたかったわけじゃないか。
「これとかいんじゃない」
「おっ俺っぽい?」
「うん、履いてみたら」
「おう」
近くに設置された椅子に座る。
床に置いた靴を手に取ろうと手を伸ばすと同時に蓮の姿が視界の中に入ってきた。
「どっどっ」
「靴紐解くから待って」
優しさが嬉しくて心臓が痛い。
「はい、靴脱いで」
床に置かれた靴に履き替えた。
蓮が選んだ靴、やっぱり俺に似合ってるから嬉しい。
「いいじゃん、かっこいいよ」
「やっぱり蓮は俺の事よくわかってんな!」
嬉しくて恥ずかしくて強がってしまう俺。
「当たり前だろ」
頭をクシャクシャされた。
………泣く!俺泣く!!
「買う!買って漏れそうだからトイレ行ってくる!」
靴を急いで履き替えてレジに向かい清算を済ませてトイレに駆け込んだ。
声に出さないように必死で我慢しながら泣いた。
「尚大丈夫?」
塁が声をかけてきた。
「塁1人?」
「うん」
「ダメ俺無理涙止まらん!」
「何があった?」
靴屋での事を説明した。
「そんなに泣くかね」
「泣くだろ!死ぬかと思った!」
「とりあえず2人には腹痛って言ってくる」
塁がトイレから出て行った。
好きすぎてもうどうしたらいいかわかんないよ。




