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69話

動揺して動きが遅くなった俺を追い越した隼人さんは蓮の隣に並び蓮に何やら話しかけている。


蓮が隼人さんを見ている横顔を見るだけで息苦しい。



「蓮、歩くの早すぎ」



立ち止まり俺の方を向いた蓮と隼人さん。


2人ともイケメンで似合ってるのが悔しい。



「ごめんごめん」



蓮が俺の方に歩いて来る。


その後ろ姿を見つめる隼人さん。



「蓮のバカ」



蓮にしか聞こえないように呟く。



「すみません尚さん」



隼人さんもこっちに歩み寄ろうとした。



「尚とゆっくり歩いて帰るので拓哉と塁に待っといてって伝えてもらえますか?」

「では先に帰って伝えておきますね」

「すみません隼人さん」



隼人さんは軽く頭を下げた後1人で帰った。



「誰がバカだよ」



なんとなく蓮から顔を背けた。



「バカだからバカ」

「やっぱちゃんと話して」

「負けた気がするから嫌」

「負けた?誰に?」



売られた喧嘩は買う。



「言わない」

「また1人でっ」

「大丈夫だから」



蓮が急に顔を覗かした。



「なんだよビックリした!」

「どんな顔して言ってんのかなって」

「は?普通だよ」

「話したくないなら話さなくていいけど自滅するくらいならオレの事ちゃんと頼れよ」

「わかってる」

「本当にわかってんのかね」

「わかってるよ、頼りにしてるから」

「そっか」



蓮が体勢を戻した。


急に好きな人が顔出してくるとか心臓に悪いって。



「アイツら待ってるしもぅ帰ろう」

「そうだな」



蓮と並んで歩き始める。


何か話しかけないとって思うと何を話したらいいかわからなくなって何も話せない。



「あのさぁ」



なんとなく蓮の声に違和感を感じる。



「なんだよ」



何を話すのか不安でたまらない。



「俺の事」

「蓮の事?何?」

「友達って思った事ないって話だけど」

「………うん」



何も言わなくなった蓮。


……怖い…何て答えたら正解なんだ……



「やっぱり何でもない」

「…えっ」

「聞かない方がいい事もあるだろうし」

「蓮っ」

「早く戻ってやんないとな」

「おい!」



蓮に背を押され早歩きで拓哉宅に戻った。


俺は蓮を傷つけている。


違う意味なんだよって伝えるべきなのか?でも伝えたら俺が蓮を好きだと言っているようなもんだ。


まだ告白するには不安すぎて怖い。


でも今のままじゃ今までの俺と変わらない。


蓮を失う怖さに負けて友達関係に逃げてた俺、それじゃ満足できなくなったから蓮を振り向かす事にしたんだよな、それに天谷にも隼人さんにも負けたくない。


さっきの風呂だって嫌だったら蓮もあんな事しないはず、って事はたぶん蓮も俺の事好きなはず。



「何かあった?帰ってからお前変」



拓哉がニヤけながら俺に質問してきた。



「何もない」

「嘘だーーー隠すなーーーー」

「本当に何もないんだって」



俺を見ていた塁が拓哉にデコピンをした。



「痛っってぇ!何!何で!」

「空気読めバカ」



塁の言葉に蓮と俺を見た拓哉。



「本当に何もないよ」



蓮が返事をした。


普段通りの声だけど瞳は曇って見えた。

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