67話
「良い子じゃん」
俺らに背を向けたまま塁が言った。
「そうだな」
塁の言葉に嫉妬して暴れると思ったのに違った。
「お二人で散歩にでも行かれては?」
隼人さんが気をつかって提案する。
「大丈夫、部屋に戻ろう」
拓哉は振り返り部屋に向かった。
状況が掴めず蓮に目で助けを求める。
「塁行くよ」
蓮が塁に声をかけた。
振り返った塁が辛そうな顔をしたまま笑顔を見せた。
「何かお飲み物お持ちしますね」
隼人さんがこの場を離れた。
「行こう」
蓮が塁の背後に移動して肩を押しながら歩き出した。
その後を着いて歩く俺。
ガチャ………
ドアを開けるとベットに横になっている拓哉。
気まずい雰囲気。
「隼人さんが飲み物持ってくるって!」
耐えられなかった俺が喋るが反応ゼロ。
「よし!俺は隼人さんを手伝ってきます!」
「隼人だったら1人でっ」
「手伝ってきます!」
拓哉の言葉を遮って返事をした。
ガチャッバタン…
廊下に出て初めて息を吸えた感覚。
「キッチンどこだ」
風呂とトイレしかわからない俺は廊下を彷徨った。
「そうか」
「はい」
「後継ぎの事もあったからな」
「そうですね」
「間違った選択はしてほしくないな」
「はい」
「拓哉の人生は拓哉のものだから」
「はい」
「相手が隼人だったら安心なんだけどな」
「すみません、私の事は好みでは無いようですし私も好意がある男性ができましたので」
「隼人に?初めてだな」
「はい」
「ちなみに拓哉のっ」
「違います!お友達の方です」
「わかってるだろうがこの仕事は相手も危険になる」
「俺を選んでくれた時は全力で守ります」
「そうか」
聞く気はないけど聞いてしまった。
蓮が危険に?絶対蓮の事を守る。
そんな危険な世界に蓮を連れて行かせない。
向きを変えて来た道を戻る。
「あっ尚、キッチンどこ?隼人さん居た?」
「こっちには居なかった」
「そっか」
「部屋に戻る?」
「今2人きりだから、話したい事もあるだろうし」
「じゃあ散歩行こう」
「散歩?」
「いいから玄関行くよ」
「わかったわかった」
急足で玄関に向かう。
見つかったら私も一緒にとか言われそうだし。
玄関を出て門に立つ人に散歩と告げて門を出た。
「なんかあった?」
しばらく歩くと蓮から質問。
「俺は卑怯者だし小さい男だしガキだから」
「………ん?なに?どうした?」
「隼人さんと拓哉のお父さんが会話してるの聞いた」
「拓哉の元カノの事?」
「それもだけど違う話もしてた」
「違う話?」
「…………………うん」
「なんの話?」
言いたい…隼人さんは蓮の事が好きだから気をつけてって…隼人さんを好きにならないでって言いたい。




