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57話

「アルコールと台拭き持って来ますね」



ガチャ……バタン…


隼人さんが部屋を出て行った。



「尚」



話しかけてくんなバカ。



「なぁ尚」



あんな場面見せられて暴れなかっただけ感謝しろ。



「尚って」



そりゃお前は俺の気持ち知らないからあの場面が俺をどれだけ傷つけたか知らないだろうよ。



「尚」



お願いだからそっとしておいてくれ。


ガチャ……



「戻りました、すみません手伝っていただいて」

「俺らが食べたので片付けは当たり前です」



2人の会話を横で聞きながら皿を重ねる。



「尚さん、私がアルコールを吹き付けるので尚さんは台拭きで拭いていってもらっていいですか?」

「はい」



何で俺?蓮に頼めばいいじゃん。



「蓮さんはトレイに下げてもらっていいですか?」

「はい」



俺と隼人さんは向かい合う位置で作業をする。


隼人さんが吹き付けたアルコールをひたすら拭く。


時々隼人さんと目が合う、何か言いたい事でもあるのか?まさか宣戦布告してくるとか?


隼人さんが何を考えているのか読めないまま作業を続けていると流れ作業すぎて段々適当になっていく。


プシュッ……



「今腕にかかりましたか?」

「全然大丈夫です」

「手が荒れてはいけないので一応拭きましょう」



隼人さんはポケットからハンカチを取り出しペットボトルの水を少し染み込ませて俺の腕を取り拭く。


ハンカチから少し出ている隼人さんの指がハンカチと一緒に擦れるのが微妙にくすぐったい。



「顔は大丈夫ですか?」

「大丈夫っ」

「一応確認させてください」



隼人さんが顔を近づけてきた。


気まづくて視線を横に逸らす。



「クスッ、感じやすいんですね」

「なっ!」



ビックリして隼人さんを見ると至近距離での破壊力がやばすぎる、隼人さんの事が嫌いな俺でも一瞬息をする事を忘れてしまった。



「大丈夫ですよ、蓮さんは背を向けていますから」

「なっなにが大丈夫なんですか」

「キスしますか?」

「……は?」

「おっと、見られちゃったかな」

「なんですか?」



隼人さんが体勢を戻す。



「なにやってんだよ」



蓮が急に腕を掴んできた。



「えっなに」

「……チッ…サボるな」



今舌打ちした?



「サボってないけど」

「もう私1人で大丈夫ですからお風呂にどうぞ」

「じゃあよろしくお願いします」

「蓮さんも一緒にお風っ」

「俺1人で入りたい気分なんで1人で行きます」

「そうですか」



…………………ガチャッ…バタン……


気まずい空気が流れたので急いで部屋を出た。

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