38話
「荷物投げない」
「無理矢理見そうじゃん」
「尚が見たいなら見るけど見たくないんでしょ?」
「絶対一緒には見ません」
「ふ〜〜〜ん、1人で見ますって?」
「そうは言ってない」
怪しんだ顔で俺を見ている。
「尚ちゃんが大人になろうとしてる」
「いつまでも子供じゃいられませんから」
「急に成長しようとして怪しい」
「別に怪しくないし」
「合コンでいい子がいたとか?」
「はあ!?」
「動揺しすぎ」
「動揺してないから」
「セクシーお姉さんでもいたの?」
「いない」
「可愛い子がいたのか」
「いない」
「じゃあ何か刺激的な事があったとか?」
「なっないってバカ」
一瞬蓮の表情が暗くなった気がした。
「わかりやすいな」
「……別にっ」
「深くは聞かないから安心して」
「だからっ」
「言わなくていいって」
ソファーから立ち上がった蓮の腕を強く引っ張る。
体制を崩して座っていた場所に蓮は倒れ込んだ。
「危ないだろ」
「別に変な事なんもなかったし勘違いすんなよ」
蓮は顔を横に向けている。
「俺んがムカついてんだけど」
立ち上がり蓮の顔を掴んで強制的に俺の方を向かす。
「蓮が知ってる事、俺なんも知らないわけ」
蓮の戸惑った表情にゾクゾクしている俺がいる。
「キスもそれ以上の事も全部」
「尚っ」
「蓮はどこまで経験してるのかな」
指で蓮の唇を触る。
「キスまで?」
指で首筋をなぞる。
「服脱いで肌見せたりしたのかな」
嫉妬で狂いそう…今すぐ俺のにしたい……
「蓮、キスしていい?」
「…はっ!?」
「経験したいんだけど」
「俺じゃなくてもっ」
「今すぐしたいんだけど」
「ちょっと冷静になれって」
「俺はいつでも冷静だよ」
「誰に言ってるかわかってる?俺だよ?」
「わかってるよ」
「合コンで会った女の子じゃないよ?」
「知ってるよ」
「じゃあなんでっ」
「本番のための練習って事でいいじゃん」
キスできるならなんでもいいよ。
「わかった……いいよ」
蓮の頬に手を添える。
ここにきて急に緊張と恥ずかしさが襲ってきた。
「いっいくよ」
「ふっ、わざわざいくよとか本番で言うつもり?」
「本番は言わないし」
蓮にガン見されてると絶対無理なんだけど。
「目、閉じて」
「やだ」
「なんで!?」
「せっかくだしよく見とこうかなって」
「無理!早く閉じて!」
「やだ」
至近距離で見つめ合ったまま言い合いをする。
「早くキスしてよ」
蓮に言われて何かがプツリと切れた。




